書店や専門の印鑑屋さんに足を向けてみると、時折若い女性が桁なのケースから印鑑を手に取り、キャッキャウフフと楽しみながら選んでいる風景が見られます。

「へえ、女性にもけっこう人気あるんだ…印鑑って」と、思わず感心したモノです。

しかも若い女性が手に取っている印鑑をよく見てみると、草書体の印鑑ばかりです。
「女性に人気の印鑑の書体って、実は草書体なのかあ。じゃあ、女性に人気があって好かれやすい印鑑って、どういうモノがあるんだろう」と知りたくなり、調べてみることにしました。

 
ここで参考になるのが、昔の印鑑の調査です。実は昭和40年代前から、定期的に銀行印の調査が実施されていたのです。その調査報告の内容は、なんと印字タイプの草書体の印鑑を所有している女性が、20パーセントを超える人気ぶりで、当時のトップを飾っていたのです。草書体の印鑑が女性に人気のある秘密は、実は草書体そのものにあるようです。それは柔軟で柔らかいイメージや印象を抱かせてくれる草書体オリジナルの書体こそが、女性がお気に入りになる秘訣でした。

ですが印鑑の相を鑑定している印相家には、実は草書体の印鑑はあまり好まれているワケではない様子。その理由とは、草書体自体があまりいい運気を所有者に呼び込みにくいモノとして目上の方からも見られがちだから、とか。
なぜ草書体が印相家や目上の方にウケがあまりよくないのかといいますと、これにも理由があります。例えば重要な書類などに印鑑を使用する場合、そもそも女性本人の書体を草書体の印鑑で表現すること事態が大変失礼な行為、と受け止める方もいらっしゃるからなのです。

 
しかし最近は、草書体が少しずつ以前ほど見かける機会が減少しつつある気がするのですが…。これらの原因を推察していくと、楷書体や分別が一苦労しそうな種類の書体が大量に出回った挙句、そのような印鑑でもいいだろうという風潮に傾きつつあるという現実があるのです。この結果注文彫り自体に特にこだわりを持たない女性が増えてしまい、結果的に印鑑の書体が絶対に女性らしいモノにこだわる必要はない、という意識が根付きつつあるからなのです。
それと、もう一つ、そもそも草書体のように崩れがちな印字の印鑑は、トラブルが発生しやすい書体という事実も無視できません。草書体の印鑑は偽造がなかなかできないという長所があります。しかし字画線の曲折部が鋭角になっている箇所がところどころに散りばめられていて、その分印肉がそれらの箇所に詰まり気味になる恐れの短所も指摘されているのです。

 
草書体の印鑑をこれからも女性が安心して使っていただくには、常日頃から宿肉の印面に詰まりやすい汚れを清潔に保ち、印面をいつでも使いやすくする心がけが女性人気の印鑑を維持する秘訣でもあるのです。