ドイツといえば、街中あふれるベーカリー

  • 2017/5/10

ドイツの食というと何を思い浮かべるだろうか。多くの場合、この質問の答えは決まっている。“ビールとソーセージ”である。実際に多くの友人も、もしくは家族でさえもこのように答えるほど、日本ではこのイメージが強いようだ。確かにそれも正しい。スーパーに並ぶ瓶ビールは一本1€以下で手に入る。16歳からビールの飲酒は認められ、夜にはビール瓶の当たる音を響かせながら道を歩く若者を見かける。ミュンヘンのオクトーバーフェストでは、電車の中で飲み始める人もいるくらいだ。スーパーマーケットのソーセージやハムのコーナーは大きく種類豊富で、日本では見ない光景である。そして安い。その他にも、ドイツといえば、ジャガイモやマルチパン、ケバブなどを連想する人もいるだろう。

しかし街を歩いていて一番目にするものは何か。実はパン屋さんである。ソーセージスタンドはたまに見かければいいほど。電車を降りて駅で初めに目にするのもパン屋さん。少なくとも1駅に2、3件は入り、選択肢の幅が広がるのは間違いない。ドイツ国内で年間1人当たりの消費量は80キロにも及ぶとされている。パンはドイツで不可欠なものである。

ドイツのパンというとまず初めにライ麦パンが思い浮かぶ。残念ながら一般に、固くてまずいというイメージが強い。確かに小麦を使ったふわふわモチモチの、日本で食べられるやわらかいパンとは異なる。そもそもなぜドイツではライ麦パンが主流なのだろうか。
ライ麦は標高の高い土地でも良く育ち、小麦の栽培に適さない風土の国々で多く作られるようになった。小麦のパンとは発酵のさせ方が異なり、その際ライ麦パンには酸味が付き、また目の詰まった重みのあるパンになるのだ。ほとんどの場合油脂や砂糖などを含まないため、健康やダイエット食としても活用されている。

ドイツでは確かにライ麦パンもあるが、もちろんそれだけではない。小麦を使ったパンは、バゲットやクロワッサンなどよく食べられる。日本の朝食の定番である食パンはほとんどなく、トースターを使うこともないのだ。中でもソーセージを挟むのによく使われる小さなバゲットは、万能で、どこのスーパーでも低価格で手に入る。ナイフで横に切れ目を入れ、バターを塗り、そこにチーズやハムを挟んで食べる。
多くのカフェには朝食メニューがあり、例えばオレンジジュースに、パンとバター、ジャム、卵やソーセージ、もしくはチーズやフルーツなどが主についている。それらは朝食メニューといいながらも、16時までやっていたりする。カフェにはケーキはもちろん、パンも売られていて、その場で食べることもできる。また例えば、新鮮な魚を提供するお店NORDSEEでも、魚を使ったサンドイッチが売られ、中でも白身魚のフライを挟んだバゲットは味の相性がよく、おすすめだ。

実際にどのような種類のパンが売られているのか。自宅で切り分けてバターやハムなどで食べることのできる大きなパンは、小麦のヴァイツェンブロート、ライ麦のロッゲンブロート他、2つを調合したものや細長いバゲットがある。それだけで食べることのできる小さなパンは、クロワッサンやブレーツェル、チーズを練り込んだパン、渦巻き型のシュネッケン、アップルパイやピザパンなどが挙げられる。そしてスタンドなどでも多いのは、小さなバゲットに挟んであるサンドイッチで、生ハムやサラミ、トマト、チーズや卵、または魚のフライなどが使用される。これらサンドイッチはだいたい3ユーロ前後で手に入る。

ドイツでは法律で、日曜日は基本的にどのお店も開けてはならないと定められているため、どこもやっていない。しかしパン屋さんはその例外で、しかもまだ暗い明け方から準備が始まり、早朝からお客さんを迎えることができる。これほどまで重要な存在なのである。

パンというと万国共通で人々に食べられ、決して珍しいものではないように感じるが、ドイツでは人々の間でそれが重視されていることが分かる。少し注意を払って見てみるだけで、その土地に根付いた特徴を垣間見ることができ、案外面白い発見ができるものである。

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