チェコからみた遠い国日本について
- 2017/3/3
日本へは飛行機で乗り換えて、14時間もかかるというチェコ共和国。遠い国の情報は、テレビやラジオなどのメディアからしか入って来ません。テレビの中の日本だけを見ているチェコ人は、わが国のことをどう思っているのでしょうか。
①チェコ人は白い犬の五郎を知っています
チェコにきてから、何度となく聞かれたのが「白い犬の五郎って本当にいるの?」です。私は、何それ?知らないよーと、流していたのですが、余りにも聞かれるので調べました。
白い犬の五郎とは、日本で1980年にテレビで放映されていたドラマシリーズ「黄金の犬」に登場していた犬の五郎の事でした。黄金がチェコでは白色に変わっていたのですが、紛れもなく、日本の犬でした。
ストーリーは、五郎という忠犬が、北海道で飼い主と離れ離れになり、迷いながらも、家のある東京に帰ろうとする話です。その間に、様々な事件に巻き込まれるのですが、五郎はなんとか切り抜けていくのです。感動の物語です。
この日本のドラマが、チェコでも放映されていたのです。視聴率が良かったのか、1983年、1985年、1990年、1995年にも放送されています。
なんと、チェコ語のウィキペディアにも載っています。そこには、ドラマの説明がされていますが、最後の方に、「日本では誰もこのドラマを記憶していないが、チェコではそれを克服して人気を集めた」と書かれています。本当ですね。
私の旦那さまは、このドラマをDVDに保存して持っています。子供の頃に夢中になって見たと話してくれました。私たちの知らないところで、日本のドラマが大人気だったのですね。
そして、日本の犬は、みんな五郎みたいに忠実で賢いと思われているようですよ。
②戦争した日本、広島の原爆
チェコのあるチャンネルでは、毎日のように戦争のドキュメンタリーを放送しています 。
それで目に付くのが、第二次世界大戦の日本の真珠湾攻撃や神風特攻隊、戦艦大和や原爆の映像です。白黒で悪い画質の映像が、余計に当時の様子を感じさせます。
義父は、このチャンネルが好きで、テレビをつけたらそればかり見るのです。勿論、ドイツの話やアメリカの話など主題は変わりますから、日本のことばっかりやっている訳ではありません。でも、日本の登場頻度が多くて、それを見ると、戦争で日本がしたことは、私が思っていた以上に大きなことだったのだろうと思うのです。日本は、戦争をした国なのです。
旦那は、日本に初めて来た時、まず、原爆ドームが見たいと言いました。資料館には、4時間も居ました。その展示の一つ一つを丁寧に見ていました。
ところで、原爆ドームですが、チェコ人が設計したと知っていましたか?ヤン レッツェルさんだそうです。人生の大半を日本で過ごした、日本を愛したチェコ人だったそうですよ。
③日本は自然も豊か
日本の自然や文化を紹介するドキュメンタリーも見かけます。
最近ですと、四国を流れる川、仁淀川が紹介されていました。信じられないほどの綺麗な水が流れ、川がまだ重要な役目を果たしていた頃の時代を思い出させるような川だ、この川のでは、まだ夏には子供たちが川で遊び、魚を取る、と紹介されていました。
日本の海女も紹介されていました。海女は、自分の息だけで15メトールもある海の底まで潜り、そこにある貝や海藻などを取ることができる、1分半も潜っている、と、その能力の高さを驚きと共に紹介していました。
他にも、海に潜る時は伝統的な白色の服を着るが、これはサメや海の恐ろしい物から身を守ると言われているからだ、とか、どうして女性だけが潜るのかという疑問に対しては、男性は船で海に出る漁師として働いていた、女性の方が皮下脂肪が多く、海の寒さに耐えられる、だから昔から男女で役割分担がされていたのだと解説していました。日本人の私も、なるほどと思いました。日本は、外国人にとって、驚きや疑問が一杯の国なのですよね。
③ 日本製品のコマーシャル
日本製品のコマーシャルもいくつも流れています。
自動車のトヨタ、日産、三菱や、ソニーの製品も。トヨタ自動車のコマーシャルの最後に渋い声でつぶやかれる「Today Tomorrow TOYOTA」は、ゴロが良くて、見ている私も思わず口に出して言ってしまいます。
日本製品は、高品質で信用が出来ると評価されています。
が、これを利用したとも思われる奇妙なコマーシャルを見たのです。チェコのローン会社のコマーシャルと思われるのですが、その名も日本人ローンで、手続きが早く、手数料も低く、安全な日本式のローンだとうたっています。着物を着た日本人らしき女性まで登場してます。
日本の安全なイメージを利用して、お客の信頼を集めようとしているのでしょうか。見ていて、気分が良い物ではありませんでした。でも、日本がそれだけ認められているという事なのでしょうね。
④ 子供番組にミツバチマーヤやジブリも
朝から夜8時まで、ずっと子供番組だけを流してるチャンネルがあります。そこに、懐かしのミツバチマーヤが流れています。
3Dに作り替えられてはいますが、日本で自分が子供の頃に見たあのマーヤと、チェコで再会するとは思ってもいませんでした。
週末には、特別枠で長編アニメなどが流されるのですが、そこにジブリもありました。千と千尋の神隠しや、ハウルの動く城、トトロ、魔女の宅急便などが流れていました。ジブリは、ただ見ているだけでも不思議な世界観やその絵に感動しますが、それだけではなく、話の中に日本人らしい考え方や心があるので、チェコの子供たちも、それを自然に感じてくれているのでしょか。
子供は、これは日本のアニメだなんて思いながら見てないでしょうが、大きくなってから日本に興味を持った時、あれも日本だったのかと思い出してくれるかも知れないですよね。
日本は特有の文化を持つ国です。外国人にとっては、見た事がない不思議もいっぱいです。ヨーロッパを旅行する日本人が受ける感激よりも、日本を旅行するヨーロッパ人の受ける感激の方が、何倍も多いと思います。チェコのテレビでは、日本の情報がちょっと古いようなので、日本に来たら驚くでしょうね!