「グローバリゼーション」は「アメリカ二ゼーション」?
- 2015/6/1
グローバリゼーションってなに?
「世界がグローバル化する」ということばをいろんなところで聞くことがあると思います。ビジネスの場面でも多く使われる「グローバル化」「グローバリズム」「グローバリゼーション」ということばですが、具体的にはどういうことを指しているのでしょうか。
グローバリゼーションとは、端的には社会、文化、政治、経済のあらゆる側面で、国境を越えて、地球規模で様々な影響を及ぼす現象のことです。似ている言葉に「インターナショナリゼーション」がありますが、これは単に国際化という意味で、意味がちがいます。
国家と国家の間での影響を及ぼしあう現象のことはインターナショナリゼーションと言いますが、グローバリゼーションは「地球規模」で起こる現象を指します。
ヒト・モノ・カネの地球規模での移動
グローバリゼーションという現象は、古くは大航海時代にまでさかのぼります。ヨーロッパの帝国は、自国の商品を売る市場を獲得するため、そして需要の高まる資源需要に応えるために世界中に植民地をつくりました。これによって世界中にヨーロッパ流の政治・経済制度が持ち込まれ、文化的にも均一化が起こりました。これは18世紀の産業革命によってさらに拡大しました。さらに第二次世界大戦後には、強力な力をもったアメリカによってグローバリゼーションがさらに推進されています。
特に20世紀に入ってから急激に拡大した政治・経済・文化の地球規模化ですが、なぜこのような現象が起こったのでしょうか。専門家によって様々な要因が指摘されていますが、一番大きいのは自由貿易の影響です。
アメリカニゼーション
産業革命以降、運送技術や通信技術が急激に発達し、企業は多国籍化、貿易も国家内から世界中へと国際化していきました。それに伴って海外への労働者の移動、企業による世界中への投資活動などが行なわれました。そして第二次世界大戦後、世界一の経済力を持つことになったアメリカは、自由貿易、市場主義、民主主義といった思想とシステムを世界中の国に要求するようになりました。これがアメリカを中心としたグローバリゼーションの流れです。
その結果どのような影響が出ているでしょうか。それは「世界の均質化」という現象として指摘されています。もっと言えば世界の政治・経済・文化の「アメリカ化=アメリカニゼーション」です。経済体制としては市場主義、政治体制としては民主主義ですが、さらに文化の面でのアメリカ化も世界中で見られています。
具体的に見てみましょう。例えば英語の公用語化、アメリカ製ドラマやハリウッド映画の生活への影響、食文化の変化(ファストフードの拡大など)、その他にも周りを見渡せば様々なものがあります。
アメリカニゼーションの影響は、新興国や途上国に多く見られます。このようにして世界中の文化が均質化されていくと、その国・地域固有の文化が失われてしいます。一度失われた文化は二度ともとに戻すことは出来ません。グローバリゼーションは世界の止められない流れであり、そのメリットは多くありますが、このような時代だからこそその国・地域固有の伝統的な文化を守っていくことが必要です。
以上グローバリゼーションについて、その影響について見てきましたが、いかがだったでしょうか。グローバリゼーションについては多様な意見があるため、いろいろな人の考えを聞いてみることが大切です。ちなみにグローバリゼーション=グローバル化とはその現象のことであり、グローバリズムとはその思想のことです。この二つは、正確に使い分けるようにしましょう。