「あなたと出逢ってから・・・ 」タロット占いストーリー
- 2015/5/12
様々な環境、それぞれの人生、多様な価値観、広がる希望、狭くなる関係・・・
占いの世界から見える物語。どんな男女が織り成す恋のお話が、あなたには興味あるでしょうか。
これからひとつずつ物語を綴っていきます。
一話完結のショートストーリーをどうぞ。
「同窓会ってさ、天気図みたいじゃない?ほら、梅雨前線も低気圧も高気圧もある。」
友人のNはかなり酔っていました。「先生のところ、盛り上がってるよ!私達もいこっ!」
高校の同窓会、初参加してみたのです。卒業してからもう10年。幹事になったNはどうやら初恋の担任の先生に会えるからと、はりきっていました。ホテルの会場は盛況でした。
「ずいぶん呑んだみたいだけど、大丈夫?お水持って来るね。」Nは最初からとばしてるなと私は気がついていたのです。先生はにこにこと輪の中で微笑んでいました。
私はNにも言っていなかった片思いの男性を、探していました。
テーブルにあるピッチャーから水を注ぐと、隣に立って待っている人が話しかけてきました。
「あ、やっぱりKさんだ。久しぶり。」
「Y君?!うそ、久しぶりね!」片思いの彼の笑顔がそこにありました。
今の私の声、おかしくなかった?彼は全然変わってない・・・それに私のことを覚えていてくれた!「元気?」「ええ、Y君は?」「元気だよ、ちょっと前に引っ越したけどね。」
そこにNが寄ってきました。
「あれ、Y君じゃない~!元気そうね~!ねえねえ、あのJさんとはどうなったの?」
「J?ああ・・・なんで?」「有名なカップルだったもん、貴方達。結婚した?」
「いや?ああ、ごめん、あっちで友達と呑んでるから。」Yはさっと席へ戻っていきました。
Nは私の腕を掴んで、騒いだ。「先生のところにいこう。お願い、一緒にきて。」
「はい、お水。N、少し酔いを醒ましてからの方がいいよ。かなりハイテンションみたいだから。
先生、驚かれるよ、きっと。」Nは素直に水を飲んで、言った。「緊張しちゃって・・・だめだ、どうしよう!」
ボーイがトレイにフルーツの皿を何皿か乗せて、近づいてきました。
「デザートでございます。お嬢様、おひとついかがですか?」
私は思いついて、言った。「N、これ、先生にお持ちしたら?」
ボーイは微笑んで、トレイをそのまま差し出したのです。
「ちょうど、4つございます。お嬢様方。」
私達は2つずつフルーツの皿を持つと、うなずきました。
Nはそれをトレイに乗せたまま、先生の方へ。私はふたつを手に持って、Yのいる席の方へ歩いていったのです。
その後私はYと、Nは先生と、話ができて・・・10年は長いけれど、親しさは増していたと気がついたのでした。
初恋と、片思いと、再会と。
占いの世界からみると、出逢う人や、縁といわれるものを、活かせるのはそこにあるちょっとした出来事や思いやりだったりします。
大げさなことではなくて、ただ一緒にいかが?という気持ちなのでしょう。
きっとその時、少しだけ勇気がいるのです。