少子化でどうなる? 首都圏中学受験の最新事情
- 2015/6/5
リーマンショック以降、受験者の減少が続いている中学受験ですが、2013年以降のアベノミクスによる景気回復の影響で受験者は増えたのでしょうか?
それとも、少子化の影響で受験者は減っているのでしょうか?
2015年の中学受験でも受験者は減少したようですが、小学校を卒業する生徒の数に占める中学受験した生徒の数、つまり受験率は2014年と同じような水準になっています。
これはやはり少子化の影響があると考えられます。
それでは、受験者が減った分だけ、中学受験は楽になったのでしょうか?
【進む二極化の流れ】
中学受験をする小学生が減って起こったことは、人気校への受験者の集中です。
人気校の人気は衰えずに、不人気校の受験者が減っていくという二極化の流れです。
とくに東京都内の国立私立の中学校は難易度の高い上位校と呼ばれる層の人気が回復してきました。このなかでも最難関の中学校ではなく、難関の二番手校の人気が顕著に回復しています。
これはある種の安全志向で、最難関の学校はムリそうだけれど、二番手なら狙えるかもしれないという心理が働いているためだと思われます。
とくに女子の場合、二番手校が人気になっているようです。
【中堅校の地方化】
二極化の流れとともにもうひとつ見えてくるのは、地方化の流れです。これは、上位校より難易度をワンランク落とした中堅校で顕著です。
東京都内にある中堅クラスの私立中学校の受験者は減っているのですが、神奈川県や千葉県、埼玉県にある中堅クラスの私立中学校の受験者は増えています。
これは中堅クラスの学校なら、わざわざ通学に時間のかかる都内の中学校ではなく、通いやすい地元の中学校がいいという流れだと考えられます。
場所や名前よりも教育内容で中学校を選び、地元の公立中学校の代替として地元の私立中学校を考えるという家庭が増えているのではないかと思われます。
【公立中高一貫校】
公立の中高一貫校というのもあり、中学受験をして合格しないと入学できません。公立の中高一貫校は人気が高く、とくにこの制度が東京神奈川で始まったころには、たくさんの受験者を集めていましたが、年を経るにつれて、受験者は減ってきています。
これは公立中高一貫校の教育の人気が衰えたのではなく、倍率が高いために敬遠されているというところがあるようです。
公立中高一貫校自体は非常に人気で、有名難関校との併願でも公立中高一貫校を選ぶケースが見受けられます。
【まとめ】
少子化が進んでも、教育にかける熱が冷めるわけではありませんし、世帯あたりの子供の数が減るなら、むしろ1人の子供にかける教育費は増えていくのではないでしょうか。
そうなると、今後、ますます二極化の流れは進んでいきそうです。
学校側も大学受験の実績だけでなく、設備やスポーツなどで特色を出そうといろいろ努力していくでしょうから、中学受験をするメリットもなくならないでしょう。
また、難関校は言うまでもなく、上位校の大学附属の中学校がますます人気化することも考えられます。
早稲田・慶應は無理でもMARCHくらいなら。それも大学ではなく中学校で入れてしまおうという安全志向です。