投資初心者に解説する「先物取引」とは何か
- 2015/8/25
分かりにくい金融商品
先物取引というと、分かりにくくてリスクの高い投資だと思っている人が多いと思います。実際、その仕組みを聞いても株や為替とはちがう点ばかりで複雑です。今回は先物取引の特徴をご紹介しましょう。
価格の変動に関わらず決められた価格で取引
先物取引では、事前に決められた期限に、決められた価格で取引することになっています。前もって価格を決めているため価格変動リスクを回避することができるというメリットがあります。
例えば1トンのトウモロコシを10万円で売りたいと考えている農家がいたとします。しかしトウモロコシの価格は変動するため、将来10万円以下でしか売ることができないかもしれません。そこでこの農家はトウモロコシを10万円で買ってもらえるように、業者と交渉しました。業者は将来トウモロコシ価格は10万円以上になると考えたので、それを承諾しました。
もしも決済する時点でトウモロコシ価格が2割上昇していれば、農家は2割分の利益を得ることが出来なかったため、損であると考えるかもしれません。しかしもしも2割下落した場合、農家にとっては2万円も損失が出てしまいます。そのため、価格上昇分の利益を得るチャンスを失ったとしても、農家としては安定的な生産ができる先物取引に応じるメリットは大きいのです。これは実物の商品の例ですが、金融商品の世界でも同じ原理です。
取引期間が事前に決まっている
先物取引の特徴は、まず取引できる期間が決まっているということです。例えば株式投資では、値上がりするまで株をいつまでも保有し続けることができます。しかし先物取引は事前に取り決めた期限になると自動的に決済されます。そしてその決済された時点で損益も決まってしまいます。
証拠金取引
通常の株式投資の場合、100万円の株を購入しようとすると100万円の資金が必要になります。しかし先物取引の場合は、取引額の数%の額だけ証拠金として預け入れればいいことになっています。そのため、元金の数十倍の取引ができるのです。
元金の数十倍の規模で取引できるということは、利益がでたときは高いリターンを得ることができるのですが、逆に損が出たときも莫大になってしまいます。そのため先物取引はハイリスク・ハイリターンだと言われるのです。
差金決済
先物取引では、購入したときの価格と決済したときの価格の差額のみで受け渡しを行なう差金決済を行ないます。例えば株式の先物で買付けを行なった場合、決済日までに反対注文を行なって売付けしなければなりません。その約定したときの買付けと売付けの差額、つまり利益が出ていればその分を受け取り、損失が出ていればその分を支払うことになります。