「イスラム国問題」の概要を解説!
- 2016/2/25
イスラム国ってなに?
ここ最近、毎日のように報道される「イスラム国」の問題ですが、その内容は複雑でよく分からない人も多いのではないでしょうか。しかしイスラム国の問題は世界的な問題であり、社会人として知らないわけにはいきません。今回はイスラム国とはそもそもそういう組織なのか、どのような問題になっているのかを簡単に解説していきます。
そもそもイスラム国とは、イラクとシリアで活動する過激派組織で、カリフ制のイスラム国家を樹立することを目標に掲げています。カリフ制とは、簡単にはイスラム教のトップである指導者が政治的な指導者も兼ねるイスラム教の制度のことです。「イスラム国」という名称で国家の樹立も宣言していますが、当然イラク、シリアはもちろんのこと周囲のイスラム教諸国からも国家としては認められていません。
しかしイスラム国側は首都と宣言するラッカを中心に税制を導入し、省庁などの行政機構を整備し、警察組織も構成、また独自の通貨も発行することを発表しており、次々に国家としての体制を整えつつあります。
他の過激派組織とのちがい
それではイスラム国とこれまでのその他の過激派組織との違いは、どこにあるのでしょうか。これまでの組織との一番の違いは、国家的統治を素早くはじめたことでしょう。イスラム国の指導者であるバグダディ指導者は、イラク戦争前後まではモスクの説教師だったそうで、政治的活動な経験は少ないと言われます。しかしイスラム国の幹部には、フセイン政権時代の将校が多数存在し、彼らによって国家的統治が行なわれているそうです。
また、資金面でも他の過激派組織と一線を画すと言われます。イスラム国は制圧した地域の石油を販売することで利益を得ており、さらに支配地の住民からの収奪、課税、そして密輸などを通して潤沢な資金を得ています。さらに銀行、発電所なども運営しており、豊富な資金で兵器を購入したり海外から人材を得たりすることで、組織としての実力を高め続けています。
これからどうなるのか
イスラム国がここまで発展してしまったのは、アメリカのもつ「世界の警察」としての覇権力が弱まったことが原因です。アメリカはイスラム国に対して空爆を開始しましたが、その対応は対処療法的で根本的な解決には至っていません。イスラム国は、こうしている間にも着々と発展を続け、高性能の兵器や80カ国以上の国から戦闘員を集め、さらなる支配地の拡大を準備しています。そして支配地の拡大に伴って、支配地域から異教徒を排除、迫害し、障害となりそうな人間は処刑してネットで公開しています。このような旧時代的な暴力による支配の拡大は、許せるものではありません。
イスラム国の活動を止めるには、「資金供給の遮断」が一番有効だと考えられています。しかし、今のところ複雑な政治的事情に阻まれて、資金供給を断つことはできていません。イスラム国の発展を本当に止めるのならば、世界各国で足並みを揃えた協調的な対応が必要ですが、この問題はまだまだ長期化していくでしょう。
イスラム国問題の概要を簡単に解説しましたが、いかがだったでしょうか。中東情勢は宗教や政治、多くの国・組織の利害がからみ合う複雑なものです。そのため理解するためには多くの知識が必要です。これをきっかけに勉強をはじめてみてはいかがでしょうか。