シルクロード構想って?中国の目指す覇権
- 2015/6/1
中国の狙う覇権
アメリカが世界に及ぼす影響力が徐々に低下しはじめ、それと同時に大きく経済発展する中国が覇権を握ろうと動いています。2014年11月に行なわれたAPEC(太平洋経済協力会議)では、中国はAPEC加盟国ではないアジアの国々と会議を重ね、中国が構想している「シルクロード経済圏」を提案しています。
シルクロード構想とアジアインフラ投資銀行
シルクロード経済圏の構想とは、習近平国家主席が提唱しているもので「シルクロード基金」を設立しアジアを中心にインフラ整備などに投資し、中国から欧州までの経路を活性化させようというものです。
このシルクロード経済圏の構想と密接につながっているのが、「アジアインフラ投資銀行」です。アジアインフラ投資銀行とは、発展途上にあるアジア地域の開発を目的としている機関で、1000億ドルの資本金の半分を中国が出資することになっています。しかし、アジア地域の開発を目的とする機関には「アジア開発銀行」がすでにあります。アジア開発銀行は、アメリカや日本が中心となって設立したもので、同じ目的の機関を新しく中国は設立しようとしているのです。なぜでしょうか?これは中国が欧米中心の経済秩序に挑戦するためだと言われています。
中国はアジアインフラ投資銀行を通じて、アジア地域で不足しているインフラ整備の資金を融資し、シルクロード経済圏構想ではより直接的な形で各国に資金援助することが考えられます。
中国の影響力の拡大
中国はなぜそこまでして新たな構想を実現させようとしているのでしょうか。現在の世界の経済秩序は戦後に欧米が中心となってつくったものです。もともと中国は既存の秩序の中で発言力を高めようとしていました。例えばアジア開発銀行の出資比率を高める要求をしました。しかしこれはアメリカに拒否され、既存のシステムの中で発言力を持つことができないと判断した中国は、自国中心の新たなシステムを作ろうとしているのです。
中国が目指すのは、まずはアジアの盟主としての地位です。アジア地域ではインフラ資金が不足している国も多く、こうした国にとって積極的に融資する中国の存在は大きなものです。そのため今後中国はこうした国と結びつきを強めて、新たな秩序を構築することで発言力を高めようとするでしょう。またアジア地域の経済発展に伴って、人民元の流通量を拡大させ、人民元を基軸通貨化していくことも考えられているようです。
強大になっていく隣国に対して、日本がどのように対応していくのか、日本は新たな秩序の形成にどのように関わっていくのか、私たち日本人にとっても大きな問題となっていくでしょう。今後も中国の動きからは目が離せません。