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甲状腺の病気
- 2015/8/20
3.11の東日本大震災の時に起きた、福島第一原発事故の事は記憶に新しいかと思います。放射能が甲状腺に溜まりやすいことは、この件で知った人もいるのではないでしょうか。しかし、このような事故がなくても、この年代の人には甲状腺の病気の発症率が高いのをご存知でしたか?主に女性の方が比率としては多いのですが、男性もなる病気です。
甲状腺は、喉ぼとけの下の両鎖骨のちょうど途切れた部分に、蝶の形にあるものです。甲状腺の働きは、ホルモンの分泌ですが、成長や発育に欠かせず、脳や心臓、消化器・骨・筋肉・皮膚等の新陳代謝を活発する働きがあり、精神神経や身体の活動の調整も司ります。
甲状腺の病気には、甲状腺機能低下症と甲状腺機能抗進症があります。前者は、ホルモンの分泌量が減って、身体機能・内臓機能を弱めるもので、酷くなると寝たきりになってしまいます。この機能低下症の場合は、若干体重増加等で、これといった自覚症状はありません。ですから、気がついた頃には、かなり進んでしまっています。ある程度の数値までは、様子観察で経過を見ます。これが、進行すると「橋本病」という難病指定の病気に移行します。この場合は、ホルモンを補充する薬を飲んで正常に機能するように状態を持っていきます。
一方、甲状腺機能抗進症はバセドウ氏病とも呼ばれます。この病気の場合は、ホルモンの分泌量が増加します。手足の震え、動悸・息切れ、脈が早くなるなどの初期症状が見られます。通常の脈拍は70~80/分位に対して、100以上/分になります。座っていても、常にマラソンしているのと同様の状態で、症状が進むと眼球突出(眼球が出てくる)になります。残念ながら、眼球が一度出てしまうと元に戻ることはありません。
このバセドウ氏病は、安定期(普通の状態)に戻る期間があるので、難病指定にはなりません。安定期に入るまでは、ホルモンの分泌量を抑える薬を飲みます。安定期に入ると10年程は、薬を飲まずに普段通りに過ごすことが出来ます。機能低下症から機能抗進症に変わることもあります。バセドウ氏病は、自覚症状がありますので、早期発見は可能です。この甲状腺の病気は、低下症や抗進症間には、移行があるので、定期的な血液検査が必要となります。遺伝の可能性もありますので、親戚に甲状腺の病気を患っている人がいたら、一度検査を受けた方が良いと思います。また、身体的におかしいと思ったら、内科か分泌科を受診することをおすすめします。