南国マレーシアの出産・子育て事情
- 2017/2/13
マレーシアはイスラム教の国柄ですが、実は女性の社会進出がとても高く、女性人口の55%の女性が就業しています。その中でも26%がトップマネジメントとして働いているので、女性が働くための環境が整っています。産休も問題なく取得できて、復帰後子供を預ける施設やベビーシッターを見つけるのも簡単です。性別による待遇や出世への差が無く女性が上に立つことへの偏見もないため、女性にとって非常に働きやすい国といえます。
イスラム教では子供は多ければ良しという教えがあり、かつては5-6人の子供をもつ事も普通でしたが、近年では出生率が平均1.9人まで下がりました。ご多分に漏れずマレーシアも学歴社会ですので、子供に良い教育を受けさせたい親にとって、教育費の高さは頭の痛いところ。大学はオーストラリアへ留学させることも多いことから、子供の数は2人くらいまでに抑えたいところで、そういった風潮が全体的に子供の数を減らせているようです。
意外なようですが、マレーシアの高度医療は進んでいて、海外の富裕層にマレーシアの病院で検査や手術を受けてもらうというメディカルツーリズムを国を挙げて推進しています。従ってそんな私立の病院は、技術力が高いのはもとより、サービスも至れり尽くせりで、高級ホテル並みのサービスが受けられます。こういった病院での出産となると2泊3日のベッド代、正常分娩費込みでおよそ20万でこれは若い夫婦の月収合わせても2ヶ月分程度と非常に高価となります。そのため、若いカップルは、結婚前にまず結婚式の費用と溜め、結婚すると今度は出産にかかる費用を溜める訳です。
日本のような健康保険制度がないので、出産費用は全額自己負担です。私立の病院で出産が出来る高所得層はまだ一部で、多くの女性は安価な公立の病院を使わざるを得ません。その場合、野戦病院のように、ズラーっと並べたベッドで陣痛を堪え、いよいよ分娩室に移れても、会陰切開や縫合に麻酔は使いません。又、産んだらその日のうちに退院です。
出産後の女性の体は1ヶ月かけて元に戻すのが普通です。そのために退院した後の女性のサポートを一手に引き受けてくれるのが産後ケアセンター。ここでは妊娠中から出産後まで体と精神面両方のサポートが受けられます。
体のケアとしては各種ハーブをブレンドしたオイルでの全身マッサージ。妊娠中は安産になるように腰周りの筋肉をほぐしたり、胎児の位置を正常に戻したりといったマッサージを行います。又産後はお腹周りのたるんだ皮膚を引き締めたり、子宮を早くもとの状態に戻して妊娠前の締まった体に戻すためのマッサージを行います。
又、マタニティーブルーや産後うつで不安になったりイライラしてしまうといった精神面でのサポートも万全です。必要に応じて、お母さんのケアだけでなく、家事や赤ちゃんのお世話も手伝ってくれる経験豊かなスタッフを家に派遣してくれるので、特に初めてお母さんとなる女性にとっては大変心強い味方ですね。
マレーシアの産休は2ヶ月間。出産前日まで普通に仕事をして、出産日から産後2ヶ月間が産休となります。共稼ぎの家庭では家に住み込みのメイドを置いていることも多いのですが、誰もいない日中に赤ちゃんが不衛生な環境におかれたり虐待されたりということも少なくありません。そのため働くお母さんは、両親が近くにいれば両親へ、いなければベビーシッターに預けて仕事へ復帰です。朝8時前に預けて、迎えに行くのが夕方7時過ぎというのが普通ですが、時間には柔軟に対応してくれるので、仕事や交通渋滞で遅くなっても心配せずに済むので有難いですよね。
マレーシアでは所得によって受けられるサービスが異なりますが、産後のサポートが整っているのは、お母さんだけでなくお父さんにとっても嬉しいこと。安心して子供を産み育てることが出来る環境が整うと、日本の未来もより明るくなるような気がします。