厳重な防犯対策の住まいの中にも明るさを
- 2017/5/8
【助け合い暮らすブラジルの集合住宅、どこか懐かしいご近所付き合い】
Olá!皆さんごきげんいかがですか?
移民の国ブラジル、特に都市部では様々な国にルーツを持つ人々がひしめき合うように暮らしています。
私が住むパラナ州の州都クリチバ市は、ブラジルの都市の中でも比較的治安が良く整備され、国内随一の住み良い都市と言われています。
その為か市の中心部や周辺は人口密度が高く、広範囲に渡って家々やマンション、アパートが密集し、始めて飛行機からクリチバ全体を見下ろした時は、日本の都市部とはまた違った光景に圧巻されました。
この町で一体どんな窮屈な生活が待っているんだろうと、クリチバに降り立った時は不安がよぎりましたが、実際に住んでみると家々が密集している割には日中外を歩く人が少なく、時の流れもゆっくりと感じます。
気候や風土、国民性がのんびりした雰囲気をかもし出しているのかもしれませんね。
さて、そんなブラジルの都市部、人々はどんな家に住んでいるのでしょうか?
私はというと、主人の両親が所有する築30年ほどの古いアパートに住んでいます。
見た目にも古いアパートですが、各部屋は所有者好みに改装され、外観と裏腹に内部は以外と綺麗。
アパートの共有スペースや敷地内の植物も、管理者によって常に綺麗に整備されているのですよ!
ブラジルの都市部ではこのような古いアパートを始め、近代的な高層マンションも多く見られます。
ここまでは日本とあまり変わりない集合住宅の光景だと思いますが、大きく違うことは厳重な防犯対策。
大抵どのアパートも周りはグルッと高い鉄柵に囲まれ、敷地内に入るにも専用の鍵や自動開閉のリモコンが必要だったり、門番にゲートを空けてもらわなければいけません。
アパートの敷地に入ることができたかと思えば、次は入居する棟の入り口の鍵を開け、そしてやっと自分の部屋の鍵を開けることができます。
このようなアパートの防犯対策はごく当たり前で、治安によってはより厳重だったりするそうです!
これほど厳重なセキュリティ、さぞかし危険な地域なのだと思われるかもしれませんが、私の住むクリチバはサンパウロやリオデジャネイロなどの大都市に比べると、安全だと言われています。
でもやっぱり、日本に比べると空き巣や強盗、不審者が多かったり、万一空き巣に入られても警察の手に追えず泣き寝入りなんてこともあるそうで、皆念には念を入れて防犯しているのです。
こういった事情もあり、どこのアパートの敷地内にも遊具や小さな運動場があったり、植物がたくさん植えられていたりして、子供達が敷地外に出なくても安全に遊べる工夫がされています。
夕方にもなると近所の子供達は年齢関係なく一緒に遊び、アパートの敷地内を賑やかに走り回る姿が。
大人達もご近所同士結びつきが強く、手作りの惣菜やお菓子をお裾分けし合ったり一緒にお茶したり、時にはスクリュードライバーや常備薬を借りに行くなんて微笑ましい光景も。
最初は都会の団地住まいに不安がありましたが、どこか懐かしいご近所付き合いがブラジルにはまだあって、都会に居ながらも孤独を感じることがありません。
一歩外に出れば安全とは言えないからこそ、助け合う気持ちが強いのかなと感じています。
【目にも楽しいブラジルの住宅。しっかり防犯しながら楽しく暮らす】
ブラジルの都市部には、アパートやマンションだけでなく、様々な外観の家もたくさん見られます。
コテージのような小さな家から、どんなお金持ちが住んでいるのかと思わせるような大豪邸、人が住んでいるとは思えないような、今にも潰れそうな家まで・・・家一つをとってもブラジルの多様性を感じずにはいられません。
一軒家も多いですが、それよりも一般的なのが長屋形式の家々。
日本の長屋とは大分見た目は違いますが、家と家同士がぴったりくっついて何軒か連なっています。
外観は様々で、隣同士デザインが全く同じだったりそうではなかったり、近代的だったりヨーロッパを感じさせるような伝統的なデザインだったり。
散歩しながら個性的な家々を見物するのはなかなか楽しいですよ!
こういった長屋や一軒家にもしっかり防犯対策がされていて、鉄柵はもちろん有刺鉄線や電気鉄線、監視カメラを設置する家もあり、特に道路沿いに建つ家には様々な工夫が見られます。
そして私が最も関心を持ったのが、ほとんどの家で番犬を飼っていること。
住宅街を歩いていると各家庭から次々と番犬が現れ、鉄柵の内側から昼夜問わず必死に吠えかかります!
これだけ勢い良く吠えられたら、さすがに目立って強盗になんて入れません。
これが日本だったらうるさ過ぎて問題になりそうですが、ここはブラジル、家庭を守る為の番犬については皆が理解し合っているようですね。
一見物騒な外観とは違い、ブラジルでは女性は特に家の中を飾ることが好きなようです。
どの家へ遊びに行っても家の中は綺麗に掃除され、飾り棚には写真や工芸品が飾ってあったり、素敵な観葉植物もあちこちに。
自分自身でマメに掃除をする人も多いようですが、中流以上の家庭では定期的にお手伝いさんに来てもらい、掃除や家事を手伝ってもらうことも普通なようです。
自宅に人を招くことが多い文化からでしょうか、いつも綺麗に整ったお宅にお邪魔すると、私も見習わなければと背筋が伸びます。
ちなみに、多くの建物はセメントやレンガで建てられていて、木造の建物はあまり見かけません。
一般家庭の床は主にタイルやフローリングで、もちろん土足での生活。
日本のように玄関に下駄箱があって段差があってという家は、これまで出会ったことがないですね。
最初は、都会のゴミゴミした感じやどこもかしこも鉄柵に囲まれた町の光景に閉塞感を感じていた私ですが、そんな中でも人々が明るく助け合いながら暮らしている姿を目の当たりにして、今では東京で一人暮らしをしていた頃よりもリラックスできているように思います。
大げさだと思っていたセキュリティも、今では無くてはならない存在に思えるようになりました。
広大で様々な文化が溶け込んだブラジル、所変わればまた違った住宅や人々の暮らしが見られ、まだまだ新しい発見がありそうです!