雇用形態の規制緩和!「ホワイトカラーエグゼンプション」って?
- 2015/5/12
最近ニュースでよく見ることば「ホワイトカラーエグゼンプション」とはどういうものなのでしょうか。今回は、日本の多くのビジネスマンに影響があるかもしれないホワイトカラーエグゼンプションについて、解説していきます。
成果を上げるために成果報酬性に
2014年から議論されるようになった「ホワイトカラーエグゼンプション」という制度ですが、これは端的には「労働時間ではなく成果で評価する」制度のことです。ホワイトカラーの職種の人たちに適用することが考えられています。分かりやすく言うと「ホワイトカラーの人材は自分の裁量で働く時間を決めていいが、残業代の支払いは義務づけられない」というものです。
この制度のねらいは、世界的に見て長時間労働でありながら生産性が低いと言われる日本の労働環境を変えることです。グローバル化が進み、企業が世界を舞台に戦うことは常識になりつつあります。そしてその企業を支えているのは人材です。しかし日本の企業では残業して働く習慣が定着しており、これが生産性を下げる要因になっています。残業代がつくからだらだらと長時間働いてしまうのだろう、短時間で仕事を終わらせる工夫をしないのだろう、という考えです。裏返せば、残業代の支払い義務が企業からなくなれば、無意味な残業をしなくなるのではないか、ということです。
そこで、一部の労働者の労働時間規正を撤廃する「ホワイトカラーエグゼンプション」という制度が議論されるようになったのです。
対象は?
ホワイトカラーエグゼンプションは全てのホワイトカラー職の人に適用されるわけではありません。まだ議論中ではありますが、現在対象になるとされているのは以下の人たちです。
■年収が1000万円以上
民間議員からは年収1000万円以上の労働者に適用すべき、という意見が出ていますが厚生省はもっと下限を引き上げるべきと考えています。
■管理職候補や金融ディーラー
これも民間議員と厚生省とで意見が分かれていますが、民間議員からは管理職候補の人も含めるべきという意見が出ており、厚生省は世界を舞台に働く高度専門職に限るべきという意見が出ています。
またこのホワイトカラーエグゼンプションは、実は希望した人のみに適用される制度です。そのためこの条件にあてはまったからと言って、強制的に残業代ゼロにされるわけではありません。
労働者が不利になる場合も
しかしこの制度には労働者が不利になりかねない欠陥があるとも指摘されています。それはまず「成果」をどのように判断するかは企業にゆだねられているという点です。営業職などのように、比較的に成果が客観的に見える仕事ならばいいのですが、そうではない職もたくさんあります。また「成果」を企業が引き上げることで、労働者の負担は増し、企業は残業代を支払わなくても、よりたくさんの仕事をさせることができるようになる、ということも考えられます。さらに「希望者のみ」に適用されるといっても、企業側が無理強いする可能性もないとはいえません。
こうしたマイナス要因は今後どのようにクリアされていくのでしょうか。批判はあるとしても、日本企業の生産性を引き上げなければならないという問題は、必ず解決されなければならないものです。労働者と企業双方の努力が期待されるでしょう。