中国の不動産バブルは何が問題?
- 2015/5/12
そもそもバブルとは
中国では不動産バブルが数年前から問題になっており、2014年からすでにその崩壊の兆しが見えています。不動産バブルが崩壊し中国の経済が低迷すれば、日本にも大きな影響が出ると考えられます。中国の不動産バブルはなぜ発生したのでしょうか。崩壊したらどのような影響が出るのでしょうか。
そもそもバブル経済とは、資産価格が賃料や金利などといった実体経済の動きから、大幅に乖離した状態のことを言います。不動産市場で言えば、住宅価格が上昇し、賃料や金利も同じく上昇していれば、それはバブルではありません。しかし現在の中国の不動産は賃料・金利の上昇を大幅に上回って上昇しているため、バブルと言われるのです。そしてバブルというものは、必ずいつか崩壊します。崩壊すると不動産に投資していた投資家たちは負債を抱え、破産する個人や企業がうまれるのです。
不動産バブルはなぜ発生した?
中国政府は2000年代から金融緩和政策を行なっていました。金融緩和によって民間の不動産投資を刺激し、それによって経済の高成長を支えようとしたのです。しかし金融緩和によって膨れ上がった資金は不動産市場へと流れ、投機的に運用されるようになりました。これがバブルの原因となったのです。特にリーマンショックに端を発した世界金融危機以降は、地方政府が不動産市場で資金を投機的に運用することを繰り返し、その危険性ははやくから指摘されていました。
また、中国は近年急速に成長しているため、地方の農村から都市部へと大規模な人口移動が起きています。この人口移動によって都市部での住宅需要が拡大し、地価の上昇へとつながったこともバブルの原因の一つです。
不動産市場の冷え込みが経済へ影響
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こうして中国の住宅価格は上昇し始めたのですが、中国政府はバブルを沈静化させるために金融を引き締めインフレを抑制しようとしました。その結果不動産業者への融資が激減、不動産価格が下落、開発業者の資金繰りが悪化し不動産市場は全体的に冷え込み始めています。
2014年9月時点の不動産市場では、新築商品住宅の在庫が前年比で24%近く増加しており、在庫が積み上がっている状況になっていました。つまり供給過剰になっていたということです。その結果投資が減速し、バブルによって過剰な生産能力を抱えていた不動産関連の製造業には悪影響がもたらされ、製造業の冷え込みがその他の業種へと広がっています。中国の不動産バブルの下落は、2014年のはじめには一部の地方都市でしか見られませんでしたが、後半に入ってからは各地の都市でいっせいに下落するようになりました。中国のバブルは崩壊しつつあると言う専門家もいます。
中国の2014年の成長率の目標は7.5%となっていましたが、実際には目標に届かず7.3%に鈍化しました。さらに2015年には7.1%に下がるという見方もあります。習国家主席は、中国の経済は高度成長の段階から安定成長の段階へと変化しつつあると発表し、今後の戦略は高い成長を目指すものではなく安定的な成長へと軟着陸するものになると考えられます。うまく安定的な成長へと移行できるのか、バブルの崩壊から中国経済の大きな低迷へとつながってしまうのか、今後も注目されていくでしょう。