「ローカリゼーション」ってどういうもの?
- 2015/6/5
グローバルとローカル
近年では「インターナショナル」や「グローバル」という考えかたの重要性が高まっています。新聞やニュースでもこの言葉を見ない日はなく、ビジネスや教育、法律などあらゆる分野に国際化の影響が現れています。しかし一方で、グローバリゼーションの反対の動きとして「ローカリゼーション」という動きにも注目が集まりつつあります。ローカリゼーションとは何でしょうか。
ローカリゼーションとは経済や文化が地域・地方主義的な方向に向かうことです。世界を一つのまとまりとして見るグローバリゼーションに対して、ローカリゼーションは国内の一地方としてみる概念です。
地域主義の動き
グローバリゼーションは世界中で様々な影響を与えています。第一に文化・宗教の共通化・平均化とそれに伴う地域特有の文化の消失です。例えばアメリカやヨーロッパの映画、音楽が世界で人気になりそれが標準化していることや、欧米的なファストフードが普及し、各国の食生活が変化すること、英語が共通語になっていき使われない言語が廃れていくことなどです。
ここでの問題はその地域特有の文化や宗教、言語などが失われてしまうことです。これを問題視し、地方特有のアイデンティティを守ろうという動きが起きています。例えば日本の食文化をブランド化して売り出したり、フランス映画やインド映画のように、ハリウッドにない特徴をもった映画を製作したり、というものです。これがローカリゼーションの動きの一つです。
政治面でもローカリゼーションの動きが生まれています。政治制度は欧米にならって民主主義的にならなければならない、というのがグローバリゼーションの流れです。しかし政治制度はその国の歴史や文化を反映したものでなくてはならず、欧米的な民主主義だけが絶対ではない、という主張も出ています。
そして経済面でもローカリゼーションの動きがあります。企業が巨大になり、多国籍化し、それに伴って法律、制度も世界で統一していこう、という傾向があるのに対して、特有の産業が同じ地方に集積していくという傾向があります。有名なのはアメリカのシリコンバレーでしょう。シリコンバレーはIT産業の集積地として世界の中心となり、世界の注目を集め続けています。世界の各都市でもシリコンバレーに続こうと、産業特区を設けたり振興策が模索されたりしています。
グローバルとローカルの相互補完的な未来へ
グローバル化とローカル化は一見反対の動きですが、どちらがいいというものではありません。企業戦略としても、世界全体を市場として見たマクロ的・グローバル的な戦略と、それぞれの地域・地方特有の文化や歴史、国民性を加味したミクロ的・ローカル的な戦略の両方が必要になってきています。金融システムも、取引のグローバル化が進み資産は毎日莫大な規模で世界を駆け巡っています。しかし一方で、その金融システムはニューヨークやロンドン、東京などの一部の都市に集積していっています。このようにグローバル化とローカル化は相互補完的な性質を持っており、今後も渾然一体となって進んでいくことが考えられます。