誤解されがちな「個人情報保護法」について解説
- 2015/5/19
個人情報保護法ってどんな法律?
情報社会が進み、多くの企業や個人が大量の情報を取り扱うようになりました。そのような時代の変化に応える形でつくられたのが「個人情報保護法」です。個人情報保護法とは、個人の権利と権益を保護するために、個人情報を扱う事業者に対して個人情報の取り扱いを定めた法律で、2003年に施行されています。
しかし、この法律は正しく理解されていないことが多く、様々な問題を引き起こしています。今回、あらためて個人情報保護法とはどのような法律なのか確認してみましょう。
法律によって規定されているもの
・個人情報とは?
個人情報保護法が保護の対象としている個人情報は、生存する特定の個人を識別できる情報である、としています。例えば氏名や年齢、生年月日、防犯カメラの映像、メールアドレスなども含まれます。
・個人情報を扱う事業者って?
個人情報の取り扱いをする上で法律で規定される事業者のことを「個人情報取扱事業者」といいます。個人情報取扱事業者の対象となるのは、顧客情報、取引先情報、従業員情報など5000人以上の個人情報を有して、それを事業に利用している事業者のことです。
・どんな義務が課せられる?
個人情報取扱事業者には様々な義務が課せられますが、大まかには個人情報取り扱いの目的を明らかにし、その目的以外の用途で使用しない、ということになります。具体的には「利用目的の特定」「情報の適正な取得・利用目的の通知」「正確性の保護」「安全管理の措置」「第三者提供の制限」「開示、訂正、利用停止」「苦情処理」などです。
問題点
個人情報保護法の問題点は、法律に対して充分な理解がされていないことから、個人情報の取り扱いに過敏になりすぎているということです。個人情報保護法で規定されているのは個人情報取扱事業者に対する義務・監督だけであり、一般個人に対するものはありません。しかし例えば小学校の学級連絡網がつくれない、卒業アルバムに住所をのせることができない、という問題が発生しています。
これらの問題は、大規模な個人情報の漏洩事件が多発したために、国民が情報の管理に対して過敏になったことが原因と考えられます。個人情報保護法は、大規模な個人情報の監督のために規定されたもので、個人的な利用に関しては対象外です。個人情報取扱事業者に当たる人もそうでない人も、あらためてどのような法律なのか、正しく理解することが重要なのです。