GDPを知って日本経済の今を理解する!
- 2015/6/3
ニュースや新聞などのメディアでよく出てくる言葉にGDPというものがありますね。
中学校3年生の社会、公民分野で習う言葉ですが、意味を理解していないという方も多いのではないでしょうか。
社会科の授業で出てくるくらいなので、ただのテスト用の暗記用語のように思われがちですが、じつはGDPは日本経済を知る上で欠かせない指標です。
【GDPとは?】
あらためてGDPを説明してみます。
GDPは一定期間(多くの場合は3ヶ月と1年です)に生み出されたモノやサービスの合計のことだと一般的には説明されます。
GDPの内訳を見ると、家計の消費支出、設備投資、輸出入といった項目があり、日本経済を幅広くカバーしていることがわかります。
家計の消費支出とは家庭がお金を使うことですが、住宅だけは投資に含まれます。
投資には民間企業の設備投資と公共投資があって、企業の設備投資とは、企業が生産ラインを増やしたり新しい機械を導入したりすることです。
公共投資は橋や道路を造ることです。
GDPは1~3月、4~6月、7~9月、10~12月と四半期ごとに内閣府から発表され、一年間の統計もまとめて発表されています。
数値はおもに前期と比べて増えたのか減ったのかを%を使って表します。
つまり、3か月ごとに、経済がプラスのほうに動いたのか、マイナスのほうに動いたのかGDPを見ればわかるのです。
【実質GDPと名目GDP】
GDPには実質と名目というふたつの値があります。
名目GDPとは物価の変動を考えていないGDPのことで、実質GDPとは物価の変動を考慮したGDPのことです。
円やドルといった通貨の価値というのは日々変動していますので、物価も上がったり、下がったりするわけです。
通常の緩やかなインフレ状態にある社会では名目GDPが実質GDPを上回っています。
つまり物価は緩やかに上昇しているのです。
これがデフレの社会になると、実質GDPが名目GDPを上回ります。これは物価の下落によって、生産量が変わらなくても、価値の合計が下がってしまうからです。
よくわからないときは難しく考えずに実質GDPだけを見ます。
【各国のGDPを比較すると】
2013年の国連発表のGDPデータから上位10位を並べると、
・1位 アメリカ合衆国 16兆8000億ドル
・2位 中国 9兆2000億ドル
・3位 日本 4兆9000億ドル
・4位 ドイツ 3兆7000億ドル
・5位 フランス 2兆8000億ドル
・6位 イギリス 2兆7000億ドル
・7位 ブラジル 2兆2000億ドル
・8位 イタリア 2兆1000億ドル
・9位 ロシア 2兆1000億ドル
・10位 インド 1兆9000億ドル
(数値は概数です)
となります。
通貨の単位が米ドルなのでわかりにくいですが、2013年のおおよその平均レートである1ドル100円で計算すると、上位3位までは、
・1位 アメリカ合衆国 1680兆円
・2位 中国 920兆円
・3位 日本 490兆円
となります。円安になっているので2015年の日本のGDPは米ドル建てにすると少々減少しているかもしれませんが、世界3位という順位は変わらなそうです。
GDPは経済の規模を表しています。
日本が世界3位の経済大国だといわれる理由はこのGDP統計にあったのですね。
【日本のGDP】
GDPは大きいに越したことはありませんが、それ以上に大切なことは変化の方向性です。GDP統計が発表されるときには前年比が注目されます。
2013年と2014年の日本のGDPを内閣府のデータで比較すると、
名目で1.6%のプラスですが、実質ではプラスマイナス0%と、成長していないことがわかります。これは消費増税や円安、金融緩和の影響で物価だけが上昇し、実質の経済は成長していなかったということです。
GDPは2四半期(半年間)マイナスが続くと、景気後退といわれます。2014年の日本の実質GDPは消費増税をした4月から半年後の9月まで2四半期連続でマイナスとなりました。
これは消費増税で景気が後退していたということですが、10~12月期には持ち直しました。
GDP統計はニュースや新聞で数値を目にすることができるので、実際に数値を見て今の経済がプラスマイナスどちらの方向にあるのか知ることができます。
今後の景気を考えるために、GDPはぜひ知っておきたい指標です。
そうはいっても未来は予測できない事態が起こるので、GDPがプラスになったからといって、これから好景気になると浮かれるわけにはいきませんが。