国債が「デフォルト」を起こすとどうなるか
- 2016/3/7
デフォルトとは何か
2000年代に入ってから世界の金融システムが混乱し、様々な経済上の問題が発生することが増えています。最近ではブラジルやロシアがデフォルトする可能性があると言われ、多くの企業や投資家はこれらの国の情勢に細心の注意を払っています。ブラジルやロシアのような大国がデフォルトを起こすと、世界経済は大混乱を起こすため、企業経営者や投資家でなくても、関係ない人はいないのです。今回はデフォルトとは何か、デフォルトするとどうなるのか、ということについて解説していきたいと思います。
そもそもデフォルトとはどういう意味でしょうか。端的には国が債務不履行になること、つまり借金が返せなくなることをデフォルトと言います。国は「国債」という形で、国内・国外の投資家、金融機関にお金を借りています。国債は半年で償還される短期のものから、10年、20年という長期で償還されるものまで様々なものがありますが、国債を購入した人には、償還期限まで利子が支払われます。しかし国がデフォルトを起こしてしまうと、この利息が支払われなくなったり償還期限になっても元本が支払われなくなったりします。
私たち個人が借りたお金を返せなくなったらどうなるでしょうか?お金を返せないということが認められれば、様々な制限を受けるかわりに破産することで借金をなかったことにできます。しかし国の場合は、デフォルトしたところで借金がちゃらになることはありません。デフォルトとなった国は、債権国(お金を貸している国)と話し合い、償還期限を伸ばしてもらうことになります。つまり長い時間をかけて支払っていかなければならないのです。
過去にデフォルトした国はどうなった?
デフォルトを起こした国は、償還期限を伸ばしてもらうことはできるのですが、かわりに国の信用度が失墜します。通貨はその国の信用の裏付けがあることで発行できているのですが、その信用がなくなると通貨が暴落します。通貨が暴落すると、物価が跳ね上がります。急激な物価の上昇を「ハイパーインフレ」と言います。ハイパーインフレが起こると、例えばお昼ご飯に食堂に入って定食を食べたら、その支払いが数億円になったりしてしまいます。
それほどのインフレが起こると、当然その国の経済は大混乱します。例えば2001年にはアルゼンチンの国債がデフォルトを起こしましたが、その結果2001年のアルゼンチンの経済成長率はマイナス11%も落ち込み、アルゼンチンペソは最大4分の1も価値が下がりました。
また一時期ニュースになったギリシャは、デフォルトはしていませんが今も非常に厳しい立場に置かれています。ギリシャは財政赤字がGDPの12%もあり、その赤字の大きさが新政権交代後に明らかになってしまったため、信用が失墜してデフォルトリスクが高まったのです。その結果統一通貨であるユーロは大幅に下落することになりました。
デフォルト後はどうなる?
デフォルトを起こすと経済は大混乱に陥りますが、理論上はそれは一時的なもので、徐々に回復していきます。例えば日本がデフォルトを起こした場合、通貨価値の下落=円安が進むため、今までより安い価格で輸出できるようになり、産業が活性化します。また、海外製品は割高になって買えなくなるため、国民は国内で生産されたものを消費するようになり、国内産業が活性化します。そうして、理論上は徐々に回復し、もとの水準まで戻ることになります。
デフォルトしたところで、国家が崩壊するわけではない、ということが分かったと思います。しかし一度失った信用はなかなか戻って来ないため、やはりデフォルトは国家としては絶対に避けなければなりません。幸い日本は、国債の保有者の95%が日本国民であるため、デフォルトを起こすことは今のところありません。しかし財政赤字は膨らむ一方となっているため、今のうちから赤字をなんとかしていくことを考えなければなりませんね。