企業の成績をはかる指標「ROE」ってどういうもの?
- 2015/7/10
ROEとは「自己資本利益率」
最近TVのニュースや新聞などで「ROE」ということばを聞くことが多いのではないでしょうか。ROEとは企業の業績をはかる上で重要な指標となるため、投資家や経営者でなくても知っておくと便利なことばです。
ROEとは企業の収益性をはかる指標です。株主から集めた資本である自己資本(=株主資本)がどれだけ利益につながっているのかを示します。ROEが高いほど資本を効率的に使って経営している、ということが言えるのです。2014年の10月、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が新ポートフォリオを発表し、これまでの国債中心の運用から株式の割合を大きく拡大しました。そして株の運用成果を評価する指標としてROEを導入しました。今後はROEを中心とした評価が広がっていくことが考えられます。
ROEのメリット・デメリット
ROEを指標として導入するメリットは、多様な企業の業績を簡単に比べることができる、ということです。例えばA社の株を購入しようと考えている人がが、同じ業界のB社とどちらが業績が良いのか比較しようと思えば、ROEがなければ多数の複雑な指標を見て確認しなければなりません。しかしROEを見ればA社が8%でB社が6%だから、A社の方がいいかもしれない、と簡単に比べることができます。
しかしROEを導入する上では気をつけなければならない点もあります。例えば、自己資本(株主資本)ではなく金融機関からの借り入れの割合を増やせば、自己資本の比率は下がるため、ROEは高くなります。しかし借り入れが多いということは、景気や金利の変動に左右されてしまうということです。そのため単純にROEが高いから効率のいい経営をしているということにはなりません。
また、投資家がROEだけで投資の判断をするようになると、どうしても企業は短期的に収益性を上げるような戦略、例えばM&Aなどに頼ることになってしまいます。そうしてROEを高く見せないと投資家が離れ、資金調達が難しくなるからです。しかしそうなると長期的な展望に立って行なう、企業にとって本質である技術開発などがおろそかになってしまう可能性があります。このようなデメリットがあるため、ROEだけを見て判断してはならないのです。ROEで分かる部分と分からない部分を分けて考えなければなりません。
日本企業は経営効率が悪い?
日本企業は海外の企業に比べるとROEが低いといわれます。つまり、経営の効率が悪いということです。日本企業は伝統的に、薄利多売などの戦略で市場でのシェアを拡大していく戦略をとるため、どうしても効率は後回しになっていました。しかし、世界でROEを指標として活用する傾向が強まっている以上、ROEが低いままでは海外企業に太刀打ちできなくなります。これからは、日本企業も事業内容や経営を見直し、海外企業並みのROEを追究することが求められるでしょう。