特定秘密保護法で何が変わる?
- 2015/8/25
議論を巻き起こした特定秘密保護法
2014年に12月から施行された「特定秘密の保護に関する法律」ですが、施行が決定されてからも、様々な方面から批判がされています。批判の中には正しく問題点をついているものから、理解が不十分なために的外れになってしまっているものまでいろいろあります。特定秘密保護法についての正しい理解を深めて、正しい意見を持つことが国民に求められています。
どんな法律?
特定秘密保護法とは、日本の安全保障に関わる情報の中で特に「特定秘密」として保護する必要性のあるものを指定して、その情報の取り扱いや漏洩時の罰則などを取り決めた法律です。
罰則には特定秘密にあたる情報を取り扱う者が情報を漏らした場合の罰則と、取扱者に対して違法な手段を用いて情報を取得しようとはたらきかけ、情報を取得した場合の罰則、そしてその共犯や未遂、教唆に対しての罰則があります。
しかしこれだけでは分かりにくいですね。簡単に説明すると、日本の安全保障つまり日本という国を守るために隠さなくてはいけない情報は特定秘密にして、それは国民には公開せず政府の一部でのみ保有しましょう、ということです。この情報の対象としては、防衛、テロ、外交に加えて外国でのスパイ活動に関する情報も含まれています。
具体的には最新の兵器の情報や交渉中の協定の情報、国内で発生する可能性のあるテロに関する情報、国内で活動しているスパイの情報などです。これらの情報は、国民が知ってしまうとパニックになったり、かえって国益を損ねてしまう可能性があるため、それを秘密にしましょう、というのがこの特定秘密保護法の役割です。
そのメリットとデメリット
この法律のメリットとしては、まずスパイの取り締まりができるということ、重要な国家機密を他国に知られないようにすることができるということがあげられます。「スパイ」というとまるで映画の世界のようなことですが、実際にはどこの国にも外国から潜入しているスパイはいると言われます。これらのスパイは普段は一般人にまぎれて生活しているため、取り締まることが難しいのですが、特定秘密保護法の施行によって、情報の規制や罰則が強化されます。そうなるとこれまでよりも取り締まりしやすくなるのです。
また、これまでも国民に知らされていない国家機密は存在していたと思われますが、それを法律で明確に規制することで、これまで以上に情報を秘密にすることが容易になりました。国民も国家機密を知ることはできなくなりますが、海外にも漏洩させないようにできます。
ではデメリットは何でしょうか。重要機密を守るという名目で情報が規制されてしまうと、国民の「知る権利」が犯されてしまうのではないか、という批判があります。また情報を漏洩すると罰則を受けるため、報道機関も情報の取り扱いに規制を受けることになります。これらは、マスコミなど報道関係者によって大きく反発されています。そして秘密にする情報の範囲をどうやって決めるのかが曖昧であるという問題もあります。規制する情報の範囲を拡大し、不透明な部分が増えれば不正が起こる可能性もあります。特定秘密を保護するということはメリットにもデメリットにもなるのです。
問題点があるからといって、この法律の存在自体がだめだ、ということではありません。時代の変化に応じて新たな法律は必要になっていくのです。これからはこれらの問題点をいかに乗り越えていくか、ということが議論の中心になっていくでしょう。私たちの生活のも関わりのあることなので、これからも注目したいですね。