Rainny days~雨に親しむ~

  • 2015/9/17

年間平均で、115日が雨といわれる雨降り日本。
なかでも梅雨の時期の憂鬱。気が滅入る日もあるけれど、せっかくだったら少しでも好きになったほうが気持ちが前向きになる。
だってだって、三日に一回は雨なんだもの。今回は日本に伝わる雨の名前をまとめてご紹介します。

雨の状態や降り方で変わる雨の名前
■俄雨(にわかあめ)
別名、“驟雨”(しゅうう)“急雨”(きゅうう)とも言います。急に降り出す雨のことです。積乱雲や入道雲から降る場合が多く、時々青空も見えます。だいたいは短い時間で降りやみますから、雨宿りを愉しんでみるのも悪くありません。

■地雨(じあめ)
にわか雨に対して、しとしとと降り続く雨を地雨といいます。地雨の特徴は、降り方が一様で、雨足が急に強くなったり、弱くなったりするような事は稀です。気象学の分野では“降らせる雲によって雨を呼び分けている様です。地雨を降らせる雲は乱層雲や高層雲と呼ばれる雲で、乱層雲は俗称で雨雲とも呼ばれます。

■霧雨(きりさめ)
文字通り、無数の細かな水が層雲からゆっくりと落ちてくるのが霧雨です。水滴が細かいために光は散乱し、吸収されて辺りはぼんやりします。
霧雨の中では見慣れた風景が単色になり新鮮に感じられます。(乾燥気味のお肌やのどにも優しい雨です)英語では霧雨のことをmisty rainと呼んだりしますね。
※霧雨のひとつに、春先にしとしとと降る細い雨のことを小糠雨(こぬかあめ)または、糠雨(ぬかあめ)というものもあります。傘をさす程でなくひっそりと降るので“ひそか雨”という呼ばれ方もする雨です。

■時雨(しぐれ)
晩秋から初冬にかけての、晴れていたかと思うとサァーっと降り傘をさす間もなく青空が戻ってくるような“通り雨“のことです。

なお、“時雨の色”というのは、時雨のために色付いた草木の葉色のことをさします。また、“時雨月”とは陰暦の十月のことで、その月には時雨が多く降ったことを物語っています。京都の北山時雨などは大変有名です。

■春時雨(はるしぐれ)
暦の上では春だというのに、暖房をつけたくなるような寒い日があります。冷たい雨が降り、まるで時雨(秋の末から冬の初め頃に、降ったりやんだりする雨)を思わせるところから、これを春時雨と呼んだりします。
初冬の春を思わせる暖かな日を“小春日和”と呼んだりしますが、これと似た表現です。

※時雨には一ところに降る“片時雨”(かたしぐれ)、横なぐりに降る“横時雨”(よこしぐれ)、時間帯でわけた、“朝時雨”“夕時雨”“小夜時雨”といった派生した呼び名も多くみられます。“初時雨“が降ると、野山も人々も冬支度を始めたそうです。

■春雨(はるさめ)
いつまでも降り続く地雨性のしっとりとした雨。春の後半のいわゆる
“菜種梅雨”の頃の雨です。
菜種梅雨とは、三月下旬から四月にかけて関東から西の地方では天気がぐずつく時期があり梅雨に似た現象になります。いわゆる“春の長雨”のことを言います。
木の芽時には体調を崩しやすいと言われるのは、陽気の変動が大きいことも原因のひとつです。
気候と上手に付き合うのも、健康や美容への一歩なのかも知れませんね。

※春雨に対して“春の雨”というのは春に降る雨すべてを総括して言うそうです。季語に敏感な俳人達は“の”の一字にも心を配っているのですね。

雨に対する細やかな感性が伝わってくる雨の名前

■翠雨(すいう)
青葉に降りかかる雨のことです。

■緑雨(りょくう)
新緑の頃に降る雨を言います。

■麦雨(ばくう)
麦の熟する頃に降る雨です。

■甘雨(かんう)
草木を潤す雨のことです。

■瑞雨(ずいう)
穀物の生長を助ける雨という意味なのだそうです。

梅雨にまつわる雨の名前

■走り梅雨(はしりつゆ)
旬にも、走り、旬、名残り、とありますが、梅雨にも、時期の早い登場が見られる事がしばしばあることがわかります。
走り梅雨とは、五月中旬から下旬にかけてまるで梅雨を思わせるような天気になることがあり、その呼び名です。走り梅雨の多くは、数日の短い期間で終わるのですが、長引いて、そのまま入梅する年もあるようです。

■五月雨(さみだれ)
日本では昔、梅雨のことを五月雨といったようです。旧暦の五月に降る雨(現在とは二ヶ月弱カウントが早いですから)というわけですね。
有名な俳句
「五月雨を あつめて早し 最上川 (松尾芭蕉)」
が、ありますね。今の感覚で思うと、行楽シーズンのピクニックのような俳句ですが、実際には、増水した梅雨時の川を詠んでいることがわかります。
※五月雨を降らせる雲は五月雲(さつきぐも)で、雨が降らずとも、この雲が重く垂れこめると、昼間でも灯りが必要なほどです。この暗さを、五月闇(さつきやみ)と呼ぶそうです。
梅雨時に、気持ちがどんよりする事があるのは、この五月闇が影響しているのかも知れません。

■梅雨の中休み(つゆのなかやすみ)
梅雨の最中に、一時的に晴天が続くことをいいます。けれども、雨は中休み以降が本番なのだとか・・いわゆる集注豪雨は梅雨の後半に多くみられます。
「五月雨も 中休みかよ 今日は (小林一茶)」

これら以外にも
■空梅雨(からつゆ)■送り梅雨(おくりつゆ)■戻り梅雨(もどりつゆ)=返り梅雨
っといった梅雨にまつわる現象に対しての呼び名が沢山見付けられます。

いつ降るか、の雨の名前

■夕立(ゆうだち)
夏のにわか雨のことです。午後、それも夕方前後に降ることが多いのでこの名がつきました。夕立は、雨の降る時間は短いのですが、降り方は激しく、雷を伴うこともあります。
※夏の夕立は狭い範囲に降ることが多いので、日が照っているのに雨が落ちてくることがあります。これを“狐の嫁入り”(きつねのよめいり)または“日照雨”(さばえ)などと呼んだりしますね。

感情を反映させた雨の名前

■涙雨(なみだあめ)
悲しみの涙が化して降るという雨のことです。涙のような悲しみの雨。悲しみに同情したように降る雨のことを言います。最愛の人を亡くした時や気持ちをぐっと堪えているときに代弁するかのように雨が降ることがあります。

■喜雨(きう)
涙雨と似た感覚で、人々の感情を代理しているかのような呼び名です。夏の日照り続きで困っている時に降る雨のことです。救いの雨が降った日には“雨喜び”といったお祝いをしたりしたそうです。

■天泣(てんきゅう)
空に雲がないのに(見当らないのに)、細かい雨が降ってくることがあります。雨を降らせる雲がないので、天が泣いた、と表現したのでしょうか。実際には、雨が地面に届く前に雲が動いてしまったり、風上にある雲から落ちた雨が、風に流されてきたことなどが原因と考えられています。通称、“狐の嫁入り“です。

■桜雨(さくらあめ)桜流し(さくらながし)
桜の花の咲く頃の雨を特別に桜雨と呼んだりします。また、その後桜吹雪となる桜の散り際の頃に降る雨は“桜流し“です。限られた時期にしか見られない桜の花を惜しむ、日本人の感性が伝わってくるような、情緒的な雨の呼び名です。

雨に見立てた雨ではない雨の名前
■樹雨(きさめ)
この雨は空から降ってきたものではなく、濃霧の森や林を歩いていると木の葉から露粒が大粒の水滴となって落ちてきたものをいいます。
映画“となりのトトロ”では、バス停でバスを待つトトロに、木の葉から落ちてきた樹雨があたって・・・というシーンがありましたね。

■怪雨(あやしきあめ)
花粉、黄砂、火山灰などが雨に混じって降る現象で、含まれるものによって、黄色、泥色、黒灰色などの雨になります。近年では、酸性雨や放射能の雨も降ります。これらを、純水な雨と区別して“怪雨”と呼ぶようです。

この他にも、ご紹介しきれない数々の~雨の名前たち~。日本人と雨との付き合いがいかに密接で、避けては通れないほどに身近であったことが
伝わってきます。また、奥が深く情緒的でもあります。

局地的な豪雨、長雨による土砂災害で泣かされることもあれば日照り、干ばつによる水不足のため、雨乞いをしたくなるくらい困ってしまうこともあり、現代でも、雨の加減、、その様子に大きく影響をうける私たち。

個人生活のレベルでも雨漏りは哀しいし、雨垂れの音は素敵だったりするのですからミステリアスな相手とも言えます。

人と人との関係でも言えることですが、時に困ったちゃんの“雨”であっても~よいところ~に目を向けて前向きに捉えてみる。相手を変えることはできないのだから問題点にはこちらが対策をする。変化してみる。

そんな心がけで向き合ってみると雨の魅力を愉しめる心の余裕が生まれてきたりするから不思議です。

また、雨を題材にした音楽や小説、映画などが世界中に見受けられるのもミステリアスでドラマチックな“雨”と上手に付き合っていこうとする経験や刺激された感受性から生まれた~絵になる風景~なのかも知れませんね。

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