育児は続くよどこまでも 赤ちゃんを「可愛い」と思えないとき その1

  • 2015/9/29

■育児が苦しくなるとき
毎日毎日24時間まったなしで続く育児。苦しくなることって誰にだってありますよね。育児が苦しくなるのはなぜなのか。答えがはっきりしていることもあれば、自分でも理由はわからないけれど、もやもや、イライラが止まらない…ということもあるでしょう。お子さんの年齢によっても理由は変化していくはずです。今回は、赤ちゃんを育てる中で生まれる、言葉にしづらい苦しさについて、考えます。今、まさに赤ちゃんを育児中の方には、読んでいて辛くなる部分があるかもしれません。でも、辛さの裏にあるものをはっきりさせれば、少しは気持ちが軽くなるはずです。飛ばし飛ばしでも、読んでみてくださいね。

■「赤ちゃん可愛いね」の言葉が重くなるとき
小さくて、ふんわりとして、赤ちゃんはどの子もとても可愛らしいですね。でも、私には自分の子どもを可愛いと思えない時期がありました。初めての子どもが生まれて1カ月が過ぎ、手伝いに来てくれていた母親も帰って、完全に親子3人の生活が始まった頃からでしょうか。気持がふさぎこみがちになり、胸が常につつかえるような重苦しさを感じるようになっていました。自分では、慢性的にひどい睡眠不足になっているせいだと思っていました。実際、寝かしつけに2時間かけてようやく寝たと思ったら30分もせずに起きる、ということもざらでしたから。ともかく疲れきっていたのは確かです。でもある日、仕事から帰った夫が「可愛いな。本当に可愛い」と、顔をほころばせている姿を見て、素直に「可愛いよね」と言えなくなっている自分に気付きました。いつの間にか、赤ちゃんの顔を見ても「可愛い」どころか何も感じなくなっていたのです。

■子どもを可愛いと思えない苦しさ
このことに気付いた時、自分でもショックでした。そして、子どもを可愛いと思えなくなっていることを、誰にも言うことはできませんでした。「可愛いね」と言われる度に、そう思えない自分に罪悪感を感じ、周囲からの暖かい言葉が負担になっていきました。特に、初めての子どもで毎日仕事を早々に切り上げ飛んで帰ってくる夫には、複雑な感情をいだくようになっていました。可愛いなぁと言う声が聞こえる度に胸が痛み、「そんな風に思えるのは一日数時間しか会ってないからだよ」と心の中で悪態をつき、子どもを見て笑う姿に苛立ちすら感じました。しかも、私が抱っこしても泣き続ける子どもが、夫が抱っこしてちょいと歌うだけで泣きやむのです。楽しそうにしている二人を見て、夫には「楽しそうで何よりだね」と恨みがましい感情を抱き、子どもに対しても「そうかい。お父さんの方がいいんだね。お母さんのことなんて嫌いなんだね」と完全な逆恨み。こんな自分の黒い感情を、夫に伝えることはできませんでした。

そんな暗い気持ちも、数カ月が過ぎていくと薄れていきます。私はある決心をしました。
(次に続く)

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