小学生の弟が、あるモンスターペアレンツにからまれた話(前編)
- 2017/1/12
お子さんがこの春から新入学という親御さんもいらっしゃることでしょう。子供の勉強、友好関係、ママ友とのつきあい……喜ばしいけれど、ちょっぴり不安なこともありますよね。
でも、実は、子供を学校に送り出す親たちだけではなく、迎え入れる学校の先生方も同じように不安を感じているのではないかと思う私。そう感じるきっかけになったある出来事を今日はお話しましょう。
今回はちょっと長いので、全編と後編の2回に分けてお送りします。
弟の同級生の父親からの電話
私の弟がまだ小学校低学年のころのお話です。
帰宅した弟とおやつを食べていたとき、突然、家の電話が鳴りました。電話は弟の同級生A君の父親からでした。
「A君のお父さんがあんたに聞きたいことがあるからこっちに向かってるっていうんだけど、あんたA君となんかあったの? 」
弟は「え、別に何もないよ。」と普通に答えたので、相談ごとか何かだろうと思った母は「わかりました」と快諾しました。
まさかの濡れ衣!?
母と弟がアパートの外に出て待っているのを少し離れたところから見ていると、背中に派手な刺繍の入っている白いジャージをきた坊主頭のガタイのいい父親と茶髪でちょっとぽっちゃりした母親がA君を連れて車から降りてきて母に言いました。
「うちの息子がお宅の息子さんにジーパン切られたって言ってるんだけどさ。事実関係が聞きたくてね。」
弟はキョトンとして、「え? 僕は知りません。」
「いや、だってAがそう言ってるよ。」
「でも僕は知りません。」
「じゃあ、うちのAが嘘ついてるっていってんの? 」
「それはよくわからないけど、絶対僕じゃありません。」
「じゃあ、うちの息子に聞いてみな。おい、A、ジーパン切ったのは誰だ?」
A君はおびえた顔で弟と目を合わせようともせず、無言で弟のことを指さしました。A君のジーンズは確かに膝の部分に少しハサミで切った跡がありました。
「ほら、Aはこう言ってるぞ。なあ、本当のこと言ってみな? 切ったんだろ?」
ショックを受けて目を潤ませた弟。母も私も彼がとても嘘を言っているように思えませんでした。
母はその時、数日前の弟と私の会話を思い出したそうです。
「学校のみんなにね、僕のジーンズの膝のところが破けててカッコいいって褒められたよ。みんなも破けてるのがほしいって。でも僕のやつはなんで破けているの?」
「ジーンズの場合はわざと破いてあることもあるの。ダメージ加工っていうんだよ。」
母は確信しました。息子は嘘をついていない、A君は息子のマネをして自分で切り、怒られたので息子のせいにしたのだと…
子供相手にヤクザ口調で怒鳴る父親
「息子を見ていてわかりました。うちの子はやっていませんよ。」
「うん、絶対僕じゃない! 」
すると、突然A君の父親が弟に向かって大声で怒鳴りはじめました。
「っざけんなよぉ、このナメくさったクソガキがぁ! どんなに成績が良くたっててめえみたいな嘘つきはろくな大人になんねぇからな! おい、いい加減吐けよ!! 」
A君の母親も出てきて母に向かって叫びました。
「あんた、自分の子供が嘘をついてるって認めたくないんでしょ! ちゃんと子供に嘘だって認めさせてあげたらどうなの? 」
弟はびっくりして泣きだし、ずっと我慢していた母もついにブチキレました。
「ちょっと、いい大人が子供に向かって怒鳴るようなこといい加減やめてもらえます!? 」
「は~あ!? なに逆ギレしてんだよぉ!! 子供が子供なら親も親だなぁ、おい。てめぇら、土下座して詫びるまで絶対許さねぇからな!!! ジーパンも弁償しろよ! 」
気づくと周りは野次馬だらけ。
「やった」「やってない」の押し問答で埒があきません。母も弟も帰りたくても帰らせてもらえず、私もどうしたものかと途方に暮れかけていたその時……
「彼はやっていませんよ!」
(後編に続く)