トイレトレーニングに悩むあなたへ 我が家の難航記その2
- 2016/10/5
■その日はあっさりやって来た
ついに訪れた4歳の誕生日。当然ですが、前日と様子は何も変わりません。一方、私の方はそわそわ落ち着きません。
どう声をかけようか迷っていると、着替えを済ませた娘はあっさりと言いました。
「4さいになったから、トイレいくね~」
それは自然に、自分からトイレへ向かったのです。
「でたよ~♪」とトイレから出た娘を、抱きしめてわっしょいわっしょい胴上げする勢いで褒め讃えました。
娘はなんとも涼しい顔で、「ようちえんでもおしっこしてますからね」と一言。
以来、トイレを嫌がることもなく、完全にオムツを卒業したのでした。
あれだけ苦労した2年間は何だったのだろう、と思うほどあっさりと。
■何がトイレを遠ざけ、何がトイレを受け入れさせたのか
なぜ4歳になった途端、2年間も嫌がっていた自宅のトイレに平気で行けるようになったのか、はっきりとしたことはわかりません。
後日、どうして家ではトイレに行けなかったのかたずねましたが、「落ちそうで怖かったから」という返事でした。怖かったけれど、4歳になれば平気になると思ったのだそう。
おそらく、トイレを使い始めた3歳前には大きなトイレを怖く感じたのでしょう。
でもその気持ちを当時は上手く伝えられなかった。一方で、補助便座は使いたくない。だからトイレは嫌だったけれど、幼稚園の便座は小さいし、お友だちも行くから試してみよう。
推測ですが、こんな風に幼稚園のトイレには行けるようになり、便座に座っての排せつにも慣れていったのでしょう。そうするうちに体も大きくなって便器に落ちる心配もなくなり、あとはきっかけだけが必要になっていたのです。
■きっかけが訪れるきっかけ
結局、トイレに行くようになるかどうかは、きっかけがあるかないかが左右するように思います。この場合のきっかけとは、言い換えるなら「自分からトイレに行きたいと思う動機」です。
育児本などに書かれるトイレトレーニングのコツも、要はこの動機づけなのです。
動機となるものは、子どもによって一人ひとり違います。神経質な子どもなら、パンツで「濡れる」という経験だけで、それを避けるためにトイレに行くようになるかもしれません。
競争心や積極性のある子なら、好きなキャラクターがトイレに行く絵本やぬいぐるみでトイレの真似ごとをすれば、「自分も(負けずに)やってみよう」と思うかもしれません。
しかし当時の娘は、どれにも当てはまっていませんでした。いくら汚れても平気で、羞恥心もまだ芽生えていませんでした。誰かの真似をすることもあまりなく、かなりのマイペース。
親の働きかけで「トイレに行こう」と思わせるのは難しかったのだと思います。
■トイレのかげにドラマあり
我が家では、私たち親にはきっかけを与えることはできませんでした。
結局きっかけを作ったのは、「4歳になったら家のトイレが平気になる」というストーリーを自分で設定した娘自身です。
そして娘は、ただトイレに行けるようになったわけではありません。親が気付かないうちに、自分で目標をたて実行する力や、自分の力で恐怖を乗り越える力も身につけていたのです。
トイレに行けるようになった背景には、心身の大きな成長がありました。逆に、それだけの成長が娘の場合は必要でした。たかがトイレではありますが、そのかげには大きなドラマがあったのです。
人に動機づけをするのは、大人でも難しいことです。上手くいかなくても仕方ありません。そして、子どもの成長するスピードも千差万別。親であっても外部からどうこうできない部分が大きいでしょう。
ですから、予想や期待通りにいかなくても、他のお子さんと違っても、焦らないでください。
その時が来るのをゆっくり待ちましょう。
時間がかかること程、達成された時に子どもの成長を大きく感じることができますから。