クラシックホテルに行ってみよう
- 2015/4/20
旅行に行った時、どんなところに泊まりますか。日本中どこにでも宿はあって、おそらく安い宿でもそこそこのサービスが受けられるのが日本だと思います。宿泊費を抑えてあちこちに行くのも楽しい旅だとは思いますが、たまには宿泊そのものにお金をかけてみてはいかがでしょうか。
第二次大戦前に創業され、今日もその当時のままの姿で営業を続けているようなホテルがあります。そんな10数軒しかないホテルをクラシックホテルといいます。和洋折衷の建築もあれば完全な西洋建築もあり、ホテルの外観は様々ですが戦前から外国人客に利用され、海外からの要人賓客の宿泊にも使われてきました。そんなクラシックホテルのいくつかをご紹介します。
○日光金谷ホテル
日本で一番古いリゾートホテルとして有名です。開業は明治6年(1873年)ですが、今の建物で金谷ホテルの歴史が始まったのは明治26年(1893年)。ヘボン式ローマ字の創始者であるヘボン博士が宿に困っていたので、創業者の金谷善一郎さんが自宅に招いたことがきっかけだとか。旅行記で有名なイザベラ・バードさんが宿泊していたり、アインシュタイン博士やヘレン・ケラーなど、たくさんの方をもてなしてきたホテルです。和洋折衷の外観や内装は、そこにいるだけで歴史を感じられる美しさです。
○箱根富士屋ホテル
箱根駅伝のランドマークとしても有名な、絢爛豪華と言えるクラシックホテルです。開業が明治11年(1878年)、本館竣工が明治24年(1891年)、そこからずっと同じ建物で営業されています。海外でも「フラワーパレス」と呼ばれている花御殿の見事さ、皇室の旧宮ノ下御用邸を払い下げを受けた菊華荘などなど、ホテルというより日本の名建築を見学に来ているような気分になれます。館内ツアーがあるというのも頷けますね。
正直宿泊しなくても見学に行きたいホテルです。
○軽井沢万平ホテル
江戸時代からの旅籠「亀屋」が、軽井沢を避暑地とする外国人向けにホテルを始めたのが明治27年(1894年)でした。現在も残る本館は昭和11年(1936年)に完成したもので、設計者は日光金谷ホテルの設計者と同じです。軽井沢という土地柄主な宿泊客は外国人でしたが、東郷平八郎や室生犀星も宿泊していました。昭和になってジョン・レノンが避暑の定宿にしていたことでも知られています。第2次大戦中軽井沢が外国人の強制疎開地であったことなど、複雑な歴史も含めた雰囲気が、和洋折衷というよりは西洋に近い雰囲気を醸しています。ステンドグラスの美しさは特筆ものですよ。
○奈良ホテル
その名の通り、奈良にあるクラシックホテルです。明治42年(1909年)開業以来ずっと使われている本館は、数回のリフォームがあったもののほぼ往時のままと言えます。皇室関係の方々の定宿であるだけでなく、英国王となったエドワード8世、満州国皇帝愛新覚羅溥儀、エチオピア帝国皇帝ハイレ・セラシエなどなど、国賓をおもてなしする迎賓館的な役割も果たしてきました。ロビーには古いピアノは1台置かれています。これは大正11年にアインシュタイン博士が宿泊した折につま弾いたピアノです。様々な歴史を積み重ねた、重厚で落ち着きのある古都のホテルです。
いかがでしょうか。年代の古い順に4つしかご紹介できませんでしたが、まだまだ素晴らしいクラシックホテルが各地にありますよ。2泊の旅行が1泊になってしまうかもしれませんが、宿泊することに意味があると自信を持って言えます。