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電力自由化ってどういうもの?メリット・デメリット
- 2015/4/24
いよいよはじまる電力自由化の改革
2016年、日本の電力市場の小売りは完全に自由化されます。現在私たちは決まった電力会社から電気を購入していますが、自由化されれば電力会社を自由に選ぶことができるようになります。この改革は2015年からはじめられることになっています。今回は電力市場の自由化について、簡単に解説していきましょう。
電力市場の自由化は三つの段階で進められることになっています。まず第一段階が2015年に行なわれる「広域系統運用機関の設置」、2016年には「電気小売業の全面自由化」、2018年からは「発送電分離、小売り料金の自由化」です。
三段階で電力改革
第一段階の 広域系統運用機関の設置とは、地域をまたいだ電力の供給能力を整備することで、特定の地域で電力が不足した場合に全国から融通することができるようにするものです。
しかし注目されるのは第二段階の小売業の参入自由化です。現在すでに小売り市場に参入するため、事業者として登録する企業が急増しており、はやくも民間企業にようる競争が行なわれる傾向が見られます。
現在は地域ごとに設立された電力会社によって、電力は独占的に供給される仕組みになっています。そして電気料金は電力会社がかかったコストをそのまま積み上げる方式(総括原価方式)によって決めているため、電気料金は高止まりしています。競争相手がいないため、独占的に価格が決められ消費者はそれに従うしかない、という状況なのです。電力小売りが自由化されれば、電力市場でも市場原理によって競争的に価格が決められるようになり、電気料金は現在より下がることが期待されています。利用者は自分好みの電力会社から、自分好みのプランを選択することができます。
第三段階の「発送電分離」とはどういうことでしょうか。電力を利用するには、利用者のもとへと電力を届ける発電設備と送配電設備が不可欠です。この設備は巨大なものになるため、新たに民間企業がつくることは困難です。そのため現在電力会社が保有している送配電の設備を発電設備と分離させることで、民間の事業者が送配電設備を利用できるようにすることが発送電分離です。電力市場の自由化は、この発送電分離を一つのゴールに設定しています。
自由化の問題点
しかし電力市場の自由化もいいことづくめ、というわけではありません。特に問題は、自由化しても電力が値上がりする場合があり得る、という点です。第三段階の発送電分離において、電力会社は送配電設備を運営する会社を分社化する予定ですが、これでは完全な自由化にはなりません。完全に別会社にしなければ、送配電設備が民間事業者に平等に解放されない可能性があるとも言われます。送配電設備が解放されなければ、せっかく民間事業者が効率的に発電することができても、それを利用者のもとへ運ぶことができません。
また電力会社が利益を求めて効率を重視することで、設備の老朽化などを招いて電力供給が不安定化するのではないか、という意見もあります。実際に電力供給という分野は、国を支える重大なインフラであるため、効率の重視よりも安定的な供給を重視しなければなりません。自由化と共に政府が民間の事業者をどのようにサポートし、電力供給を安定化させていくかということがこれからの課題となっていくでしょう。