タイ在住からみた性的マイノリティについて
- 2017/3/1
最近、世界中で性的マイノリティに関するニュースを見る機会が増えたように思います。性的マイノリティは日本ではまだ馴染みが少ない言葉かもしれませんが、現在は10人に1人は、レズビアンやゲイなど、性的少数者と言われています。性的マイノリティに関する新しい法律を改正しようと試みる国も増えつつ、また逆に絶対に認めないよう法律を規制する国もあります。難しい問題かもしれませんが、時代によって、性の多様性も変化してきたことは事実です。性の多様性の変化に伴って、それを取り巻く恋愛事情も変化していきます。今回はそんなタイの恋愛事情について書きたいと思います。
タイは、ゲイやレズビアン、オカマなどの性的マイノリティの人々に出会うことが多い国です。タイ政府はまだ法律改正には乗り出していないものの、比較的性的マイノリティに理解ある国だといわれています。オカマの人が普通にバスガイドとして女性と同じようにタイトで丈の短いスカートを履いて仕事をしていたり、また女性でも男性と同じようなスーツや髪型をして銀行で働いているのを見たことがあります。でも、それは珍しいことではなくてタイではよく見られる光景で、性的マイノリティの方でも普通に社会に溶け込んでいるのです。偏見の目で見る人は全くいません。その寛容的な背景には、タイの仏教思想やタイ人の気質など関係していると思われますが、性的マイノリティの方々にとって、ありのままの自分を出して職場を気にせず働けることはとても良いことなのは確かです。
また、タイの性的マイノリティの方々の恋愛も日本と比べてとても自由だなっと思うことがあります。一体、何が自由なのかと言うと、性的マイノリティの方々でも社会に遠慮なく堂々と自分なりの恋愛ができるのです。男性だって男性を好きになるし、女性も同様、何がおかしいのっとでも言うように。今若者の間で流行っているFacebookやInstagramなどに旅行に行った写真や抱き合ったりキスしたりしている写真をアップしたりもします。周りの反応も普通のカップルが投稿したのと変わらない反応なのです。もちろん『いいね』を押している人もたくさんいます。周りの友人や職場の同僚もそのことを承知で付き合っていますし、仕事やプライベートも割り切っています。
私の友人の一人Aさんもそんな自由な恋愛を楽しんでいる女の子の一人です。彼女はタイではトム・ボーイと呼ばれる性的マイノリティの一人です。トム・ボーイは女性ですが、格好が男性っぽく恋愛対象は女性です。筆者の夫とそのAさんは職場が一緒で、よくその子の話を聞くことが多いのですが、彼女は一年前にガールフレンドができたと紹介してくれたのです。
その子はとても可愛い女の子でした。いつも一緒にいて、頻繁にFacebookやInstagram に写真を投稿していて、傍から見ても本当に仲いいカップルで私も羨ましいと思うほどでした。Aさんは彼女に夢中で職場に連れてきては一緒に仕事をするまでになっていました。会社も別に問題なく、二人を見守っていました。(なんて寛大な会社なのでしょう…笑) そして、最近FacebookやInstagramに投稿する回数が減ってきたので、夫にさり気なくAさんの状況を聞いてみました。すると、あんなに夢中だった彼女とケンカ別れをしてしまったそうです。
夫はAさんはトム・ボーイだけど、Aさんのガールフレンドは普通の女の子、やっぱり付き合ううちに男性の方が良いって思ってしまったんじゃないかと推察していましたが、本当のところはどうかわかりません。Aさんはしばらく失恋していつもの元気がなく過ごしていましたが、今は落ち着いてきたみたいです。周りの友人もAさんと恋の悩みを相談しあってたそうです。
こう見ると、性的マイノリティと言ってもみんなと同じように恋もするし、失恋もするし、恋バナもする。みんなと変わらないんです。性的マイノリティの方々にとって一番大切なことは、そういうありのままの自分をさらけ出せるか、恋人や友人に関わらずオープンな関係を築けるか。これが生きていく上で非常に大きな問題なのではないかと感じました。
Aさんがにまた新しい彼女ができることを心から願っています。