偽「メイド・イン・イタリー」を見破るアプリ

  • 2017/3/8

ジプシーやスリが闊歩し、サービス業に従事する人の態度もなってない、などなど、イタリアを旅行した人々の感想はネガティブなものが多いのが事実です。歴史的建造物や美術は世界に類を見ない美しさなのに、この治安の悪さとサービスの悪さはイタリアに住んでいる私たちでさえ嘆息せざるを得ません。

それでもなお、「メイド・イン・イタリー」が持つ効力は抜群です。
衣料品、装飾品、食料品に、「メイド・イン・イタリー」の文字を見いだすことはすなわち、その商品の品質レベルが高いことを証明しているからです。

ところが近年、偽「メイド・イン・イタリー」が世界中で出回るようになりました。
その代表格が、パルミッジャーノ・レッジャーノ・チーズです。20キロのパルミッジャーノ・チーズを生産するのには、なんと300キロの牛乳が必要といわれていて、栄養分がぎゅっと凝縮されて美味、さらに長期保存にも耐えるこのチーズは、イタリアチーズの王様格です。ところが、アメリカやヨーロッパの各国には「パルメザンチーズ」と名づけられた偽物が大量に出回っています。「モッツァレッラ」や「モルタデッラ」といった、イタリア語らしい響きを持つ食材が、わずかに綴りや発音を変えて、ご丁寧にもイタリアの国旗などもパッケージに描かれて、世界各地で売られているのです。それらは、本家の「メイド・イン・イタリー」の食材とは比べものにならないほど品質も味も低下します。
しかし、購入者たちはその事情を知らず、本物の「メイド・イン・イタリー」を買ったと勘違いし、嬉々として食卓に向かうのです。
この、偽「メイド・イン・イタリー」の市場は、なんと7兆円規模にまでふくれあがりました。本物の「メイド・イン・イタリー」の食良品輸出額が4兆円ほどですから、その倍近くの偽物が世界中で本物のような顔をして売られているのです。

この状況を憂慮したのは、イタリアの専業農家組合でした。
イタリアは、デザインやファッション、歴史や美術の国ですが、一方で世界中の人を魅了するイタリア料理を生んだ国です。ゆえに、農業は非常に盛んで、ヨーロッパでも有数の、高品質の食材を生み出す国でもあるのです。

というわけで登場したのが、「Reliabitaly」(http://www.reliabitaly.com/) と名づけられたアプリです。
このアプリをスマートフォンにダウンロードし、商品のバーコードを挿入すると、イタリア国内国外で販売されている「メイド・イン・イタリー」の商品の販路や生産元がわかる仕組みになっています。また、食材のパッキング方法が違法でないかも調べることができるのだそうです。さらに、商品によってはその詳細な説明、使用方法、また食材であればイタリア政府のお墨付きであるDOP (原産地名称保護) とIGP (地理的表示保護) も表示されます。

じつは、偽「メイド・イン・イタリー」を見破るアプリは、イタリアのワイン協会「Vinitaly」が開発した「OREV」(http://www.orev.it/) がすでに存在していました。しかし、こちらの対象はワインだけです。名の知られたイタリアのワインの偽物も、世界各地に出回っているわけです。

イタリアの食材生産者が頭を抱えているのは、偽物と本物の価格の差にあります。
イタリアの農家や生産者が勤勉に改良を重ねて販売にこぎ着けた製品は、当然のことながら決して安くはありません。しかし、保存料や着色料がふんだんに入った偽物は、価格もかなり抑えられています。とくに、イタリアのチーズ業界が偽の「メイド・イン・イタリー」から受ける打撃は非常に大きいものがあるのです。

ところで、昨年の夏から中部イタリアを襲った地震により、イタリアの農業も大変大きな被害を受けました。一時期は、3000に及ぶ農家・酪農家が生産活動を行えなかったそうです。
しかし、中部イタリアは農業が盛んな地域であり、またその質の高さから考えても生産活動を存続させるための手厚い保護が必要と新聞でもうたわれていました。
イタリアの新聞に載った、「絶対に保護すべき食材」リストはこのようになります。

1.カステッルッチョ ( Castelluccio ) のレンズ豆 https://goo.gl/hy7wUm
2.ノルチャ ( Norcia ) のグアンチャーレ(ベーコンみたいなものです)https://goo.gl/f0qq1J
3.ベトゥスタ・ヌルシア ( Vetusta Nursia ) のチョコレート http://www.norciaciok.it/
4.サン・ペッレグリーノ ( San Pellegrino ) のサフラン
5.カッカモ ( Caccamo ) のビール http://www.mc-77.com/
6.ピエーヴェ・トリーナ ( Pieve Torina ) のチーズ https://goo.gl/aZlN4Z

いずれも、非常に小規模な生産者ですので、生産量も限られています。しかし、カステルッチョのレンズ豆はイタリア人では知らない人がいないほどの「ブランド」豆ですし、カッカモのビールはラベルが非常に可愛いのです。
もし、イタリアを旅行してこれらの食材を目にしたら、ぜひ復興支援と見て購入してみてはいかがでしょうか。( ベーコンは飛行機に持ち込めませんのでご注意くださいね ) 。

参照元
https://goo.gl/QJZN4Y
https://goo.gl/009wdT
http://www.reliabitaly.com/
http://www.orev.it/
https://goo.gl/CPSvj6
https://goo.gl/H3tiLs

関連記事

ライター体験レポート

  1. ●高濃度に配合された噂の商品「メディキュアプラセンタドリンク」を購入してみた! 年齢とともに肌トラ…
  2. 肌トラブルを解決してくれる新しい発想の「バブルジェル」 25歳を過ぎてから化粧のノリが悪くなり、旦…

おすすめ記事

  1. 世界的な歌姫、「ビヨンセ」が試して結果を出したと話題になっているという「マスタークレンズダイエット」…
  2. 宍道湖の夕日
    北海道、沖縄、箱根、大阪..メジャーな場所への旅行は、既に何度も経験されているあなたにオススメのスポ…
  3. インドアさんの過ごし方
    毎年の長期連休は、ゴールデンウィークがあげられますが、みんながアウトドア派かというと否ですし、お金が…
  4. お金をかけずにゴールデンウィークを楽しむ
    せっかくのゴールデンウィーク、楽しみたいけどお金はかけたくない…という方もいるのではないでしょうか?…
  5. フランスコスメ
    今回はフランス在住主婦が、日本でも購入できるフランスのお勧め基礎化粧品を紹介します。 フランス…
  6. 手をつなぐ男女
    大好きな人としたはずの結婚。最初は少しでも一緒にいたいと思ったはずの相手のことが、気づけば少しでも家…
  7. オーガニック コスメ
    近年、お肌のためにオーガニックコスメを選ぶ人が増えています。 名前は知っていてもオーガニックを正し…
  8. 温泉地の極上のお宿
    いつもは仕事で忙しく、なかなか一緒にいられないカップルのみなさん!ゴールデンウィークは休みを合わせて…
  9. 例えば引っ越しなどの時に女性がベッドを選びたいという時には、この際風水の考え方も参考にしてみるのもい…
  10. 草食系男子に肉食系女子……昨今は控えめで弱々しい男子と男まさりの女子という構図が話題になり定着しつつ…

カテゴリー

ページ上部へ戻る