よくわからない日本経済 円安は本当にお得?
- 2015/6/11
円高に苦しんできた日本経済が、最近の円安でちょっと元気になってきたようですが、ふつうに暮らしていると、景気回復の実感はあまりありませんよね。
本当に円安ってお得なんでしょうか?
【円安とは?】
そもそも円安は、円が安くなることです。
1ドル80円程度の価値があった円が、2013年の日銀の政策によってどんどん安くなって、2014年末には1ドル120円程度まで安くなりました。
あれ? 80円だったものが120円になったのだから高くなったんじゃないの?
と、思う方もいるかもしれません。
それはその通りです。でも、高くなったのは円ではなく、ドルのほうです。
80円だった1ドルが、120円出さないと買えなくなったわけですから、ドルが値上がりしたのです。
ドルが値上がりしたということは、ドルと比べて円は値下がりしています。
ドル高=円安です。
ドル高=円高になることはないのです。
【円安で得する人たち】
円が安くなると、ドルでモノを売っている人たちは売上が増えなくても、それだけで利益が増えます。ドル以外の通貨に対して円が安くなった場合も同じです。
ドル(他の海外の通貨でも)でモノを売っている人たちとは、輸出企業のことです。
輸出企業とは、海外売上高比率が高い企業のことです。
(実際には輸出せず、海外でつくって海外で売るというのが最近の流れです)
例えば、ソニーやトヨタ自動車は海外売上高比率が70%以上、キヤノンやブリヂストンは海外売上高比率が80%以上です。
つまり、これらの企業の日本国内での売上は全体の1/4程度に過ぎないということです。
輸出企業には大企業が多いため、円安になると景気がよくなると言われます。
【円安で困るのは……】
では、海外からモノを買っている人たちはどうなのでしょうか。
海外からモノを買って、日本国内で売る場合、円安になると仕入れ価格が上がります。
1ドル=80円の時に100ドルのモノを買うと、8,000円しますが、
1ドル=120円の時に100ドルのモノを買うと、12,000円します。
円安になるだけで、輸入品は値上がりするのです。
「じゃあ、輸入品を買わなければいいや」
と、思ってしまいがちですが、それは非常に難しいことです。
日本は石油、ガスといったエネルギー源から、鉄鉱石、銅といった鉱物資源、小麦や大豆などの食料まで、多くを輸入に頼っています。
牛乳や卵は国産ですが、牛の餌や鶏の餌の多くは輸入されたものであるため、円安になれば、牛乳も卵も値上がりします。
円が安くなればなるほど、モノの値段は上がっていきます。
もし1ドル200円になったら、1ドル100円のときの倍の金額を出さないと、同じモノが買えないということになってしまいます。(実際にはそこまで単純ではありませんが)
生活する立場としては、円安はけっこう厄介なものです。
円高で景気が悪くなるのも困りますが、行き過ぎれば円安でも景気が悪くなります。
ほどほどのところでやめておいてほしいですよね。