2015年の成長戦略を整理しよう!
- 2015/8/10
成長戦略の4つの視点
2014年は安倍政権による政策「アベノミクス」によって様々な変化がありました。アベノミクスは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」3つの柱によって、日本経済を大きく発展させることを目的とした政策です。具体的には「デフレ脱却」と「富の拡大」を目指しています。この中でも、現在もっとも注目されているのが「成長戦略」です。2014年も規制緩和や法人税改正などが行なわれましたが、2015年はどのような政策が予定されているのでしょうか。今回は、2015年に行なわれるアベノミクスの成長戦略を概観したいと思います。
成長戦略では「投資促進」「新たな市場の創出」「人材活用」「世界経済との統合」を中心的な考えとしています。具体的にはどのような政策が行なわれるのか、それぞれ見てみましょう。
企業のパワーアップ
2014年から、企業に対する法人税の負担を軽減する政策が進められています。具体的には、法人実効税率を20%代まで引き下げることで、企業の税負担を減らします。また設備投資に対する課税も制限される「産業競争力強化法」が実施されるため、企業は軽くなった税負担分の資金を新たな投資へと活用することができます。また、規制の緩和・撤廃もさかんです。これまで規制の適用があいまいだった分野で、新たな事業の合法性を確認しやすいようにしました。これによって企業は新たな事業をはじめやすくなります。
ベンチャー企業に対する支援も行なわれています。特に銀行などの金融機関から資金を借り入れるのではなく、多数の個人や企業からお金を集めて事業の資金にする「クラウドファウンディング」を促進させることが考えられているようです。
「国家戦略特区」の構想も盛り上がっています。日本各地の特定の地域で、特例的に規制を改革することで、行政(国・自治体)と民間企業が一体となって新たな事業の支援を行なっていく方針です。これらの政策が成功すれば、日本の企業は大きく持ち直すことでしょう。
労働市場の改革
日本は人口減少社会に突入しており、2014年も過去最大の人口減を記録しています。日本社会は先進国ですが、活用できる人材が減少すれば経済は成長しません。そこで考えられているのが「女性の活用」「高齢者の雇用」「労働市場の流動化」です。その中でも特に重要なのが「女性の活用」です。
日本の女性は世界の先進国に比べると専業主婦の割合が多く、主婦を労働市場に取り入れることができれば、労働需要を大きく満たすことができると考えられています。専業主婦の割合が高いのは、保育所の不足や育児休暇がとりにくいことなど多くの問題が背景にあります。そこで、政府は「待機児童解消加速プラン」を実施することで、2017年度末までに待機児童ゼロを目指して取り組みを拡大しています。また、育児と仕事を両立させるための助成金や育児休暇期間の給付金など多くの支援策を準備しています。
さらに民間の企業には、女性管理職の割合を高めるための数値目標を設定し、女性が活躍できる環境づくりを盛り込んだ計画を公表することを義務づけました。
エネルギー分野が民間へ
その他には電気などのインフラ市場が自由化される改革も進められます。これは2020年までの実現を目標としたものですが、まずは「小売り参入の全面自由化」が行なわれ、その次に「小売り料金規制」や「送配電部門の法的分離」によって、電力市場は完全に自由化され、民間の企業が参入できるようになります。実現すれば、これまでに規制されていた電気料金が、各企業の競争によって大きく引き下げられる可能性もあります。さらに企業競争による技術の開発で、さらなる利便性も得られるかもしれません。
ここで見たのは一部の政策だけですが、2015年にも多くの政策が実施されることが分かったと思います。しかしこれらの政策にはデメリットがあり批判もあります。今後の記事でそれぞれの政策に対する、具体的な内容やメリット・デメリットなどについても紹介していきたいと思います。