2014年後半に起こった株高・円安について解説
- 2015/4/24
日銀による追加金融緩和で円安に
2014年後半に、急激に円安と日経平均株価の上昇が起こりました。毎日のように円と株の価格の変化がニュースになりましたが、なぜこのようなことが起こったのか、株高・円安になると経済はどうなるのか、ということを理解できている人は少ないのではないでしょうか。今回はこの株高・円安がなぜ発生したのかについて解説していきます。
2014年10月末、日銀は追加金融緩和を発表しました。これまでも金融緩和政策は継続されていましたが、それをさらに追加したのです。長期国債や投資信託を買い入れ、さらに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はポートフォリオのうちの株式の割合を拡大させました。
円安は輸出企業にメリット
金融緩和でお金の量が増えれば、単純に考えて一人一人の持つお金の量が増えるため、景気が良くなると考えられます。
また、この政策によって日本の円の供給量は増加しました。円が増加すると円を必要とする人が少なくなるため、円の価値が下落します。これが円安です。円安になるということは海外の人が日本の製品を安く買える(日本人は海外製品を高くしか買えない)ということです。そのため、海外に多く製品を輸出している企業にとっては大きな恩恵になります。
企業業績向上期待から株高へ
この景気の好転と輸出企業の収益増加という二つのポイントから、株高が発生するのです。これが2014年後半に発生した株高・円安の原因です。このように考えれば、株高も円安も日本にとって好影響があるように思えますが、実際はいいことばかりでもありません。
例えば円安になると、海外からの輸入コストが上昇します。1ドル=100円から120円に円安になるということは、これまで100円で買うことができたアメリカのパンが120円払わなければ手に入らなくなる、ということです。日本は資源に乏しく、製造業の原材料や石油などのエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っています。これらの輸入価格が上昇するため、企業によってはデメリットにもなっています。
また過去の円高の影響によって、輸出企業も海外に工場を移転しているケースが多くなっています。海外に移転していれば、当然日本国内で円安になったところで影響を受けません。今は少しずつ海外に移転した生産設備が国内に帰ってきていますが、それも一部であるため、円安による景気の浮揚効果は当初考えられていたよりも少なくなるようです。
そのため、日本企業の業績向上に期待した株高も、いつまでも続くものではないという見方も大きくなっています。
経済のメカニズムはややこしいものですが、根気よくニュースを見て考えていれば仕組みが分かるようになってきます。今後株高・円安はどう変化するのか、さらに進むのかそれともどこかで反転するのか、よく注意してみてはいかがでしょうか。