日本の農業ビジネスの未来
- 2015/6/3
日本の農業は今、変化の途上にあります。保護されていた農業も今後は資本主義の競争にさらされ、世界の中で戦っていかなければなりません。私たちが食べる野菜やお米は、今後もちゃんと供給されるのか、安全に食べていくことができるのか、農業の未来に無関心ではいられません。
日本人の食生活は多様化?
ここ数十年で日本人の食生活は大きく変化しました。外食産業は発達し、主食はご飯からパンや麺類などへと多様化しています。この食生活の変化によって日本の米需要は大きく減少しています。農林水産省によれば、ここ数年米の需要は減少し続けており、今後もさらに下落していくそうです。
もともと日本の米農家は「減反政策」によって保護されていました。これは供給を一定にすることで米の価格を一定以下に下げないようにし、農家の収入を保護する政策でしたが、今後はこれも廃止されることになりました。このような状況が続けば、ますます農業からは人が離れ、日本の農業は衰退してしまいます。
進む規制緩和
こうした状況を打破するために、政府は農業に関する規制緩和を進め、一般企業が参入できるように法を整備してきました。TPPの議論がどのように進むのかまだ確定してませんが、今後は農業分野でも世界的に競争が激しくなっていくことは確実です。世界で日本の農業が生き残っていくために、一般企業のもつ資金力、技術力、経営力が必要なのです。
どのような分野でも同じですが、生産性を向上させるには「規模の経済」が必要です。規模の経済とは、生産規模を拡大するほど同じ製品を安く、はやく作ることが出来るようになるという経済学の概念です。日本の農業は多くが個人によって経営されているため、その生産過程や流通過程、販売過程などにまだ改善の余地が残されていると言われています。一般企業はこうした部分を改善し、日本ならではの高い安全性やブランド力を保ちつつ、それをより安く大量に供給できるようにしていくことを目標としています。
目指すは農業市場全体の活性化!
こうして農業分野が企業にとって「稼げる分野」だと認知されるようになっていけば、優秀な人材や資金が集まるようになります。そうなれば、さらに市場は活性化し、さらに人材・資金が集まり、という好循環を作っていくことができるでしょう。今後の日本の農業は企業の肩にかかっているのです。
現在すでに、世界を相手できるような技術力を持って農業分野に参入する企業は少なくなく、植物工場ビジネスなどに注目が集まっています。農業に参入した企業がどのような成果をあげていくのか、政府はどのように応援するのか、今後も注目です。