資本主義ってどういうもの?
- 2015/7/28
当たり前のようで知らない資本主義の本質
現代は資本主義社会であり、すべての企業も個人も資本主義という体制の上で労働したり、消費活動をしたりしています。これは当たり前のことですが、世界金融危機の発生から、資本主義社会のもつ欠陥について注目が集まるようになりました。そこで今回は、そもそも資本主義とはどのようなシステムのことなのか、解説していきたいと思います。
どのようにして資本主義社会になったのか
資本主義とは、資本の運動が社会の基本原理となっている社会体制のことで、資本を投下し新たな富を生み出し、生まれた富をさらに投下することで世界の富の量を増大していく仕組みのことです。
もともと世界が資本主義という体制に移っていったのは18世紀くらいからだと言われており、それ以前の社会のことは封建制社会といいます。封建制社会では、人々は土地に縛られて自分の土地を耕し、出来た生産物の一部を領主に納め、領主はさらに自分より上の領主、貴族などに生産物を納める、という形で支配されていました。しかし商工業の発達、農業の生産性の向上、交易の発達などから商品経済が広がり、物々交換の世界から貨幣経済へと変化していきました。
貨幣経済が浸透すると、一部の商工業者や裕福な農民は資本家として新たな支配階級となり、貧しい農家などは土地をすて労働者となりました。封建制時代は領主と農家という形で支配されていたのが、資本家と労働者という形で支配されるようになったのです。これが資本主義社会の誕生です。
労働者は過酷な環境で働かせられ、資本家は安く商品を生産することで富を蓄えていきました。溜め込んだ資金はあらたな生産技術の開発や販路の拡大などに活用されました。資本主義社会では同じ商品ならば安いものが、同じ値段ならば高品質のものが売れるため、企業は価格競争を激化させ、常に技術開発や市場の拡大を続けないと、事業が維持できないようになりました。こうして資本主義特有の競争社会が生まれたのです。
資本主義の欠陥
資本主義と一言で言っても、その中身は時代によって変化していきました。資本主義が誕生してすぐのころは国家が市場に介入しない自由放任的な経済体制となっていました。しかしそのような体制の元で、資本主義は様々な欠陥をあらわしました。その一つは格差の拡大です。当初、資本主義体制のもとでは資本家と労働者の間で大きな格差が発生し、社会主義運動が発生するきっかけとなりました。さまざまな闘争の結果、政府は労働者の権益を保護するように法律を制定し、また社会保障制度を導入、生み出された富は資本家が独占せず労働者にも配分するような仕組みが工夫されるようになりました。
しかしさらに大きな問題なのは、周期的な恐慌です。恐慌が起きる原因には様々なものがありますが、例えば企業が供給を拡大した結果の在庫の蓄積や供給能力が過剰になることなどが要因になります。恐慌が発生すると失業者の増加、企業の倒産、政府の歳入減など多くの問題が生まれます。
このような資本主義の欠陥は、現代に至っても解決されていません。それどころか、グローバル資本主義によってバブルの発生と崩壊の過激化、世界的な金融危機など新たな問題も生まれています。
政府は市場に介入し様々な政策を行なうことで問題を解決しようとしていますが、そもそも資本主義というシステム自体を考え直さなければならないのでは、という議論も発生しています。今後、私たちの社会はどうなるのでしょうか。現代に生きる人間として避けては通れない問題です。