世界最大の機関投資家「GPIF」って?年金運用機関が注目を集める理由
- 2015/7/30
最近ニュースや新聞で、たびたび出てくる「GPIF」という単語。どういう機関なのか、分かっているようで分かっていないという人も多いのではないでしょうか。今回はGPIFとはどういう機関なのか、私たちの生活にはどう関係してくるのか、ご紹介します。
そもそもどういう機関なの?
GPIFとは正式には、「年金積立金管理運用独立行政法人」といい、国民がおさめた国民年金や厚生年金を運用している機関です。このように多数の人から集めたお金を投資して運用する機関のことを「機関投資家」と呼びますが、GPIFはその資産規模から世界最大の機関投資家と言われています。
そんなGPIFが設立されたのは2006年のことです。設立がつい最近、というわけではないのですが、今年に入って話題になることが多いのは、GPIF内の統治体制が大きく変更されたためです。GPIFが運用するのは国民が収めた大事なお金です。そのため、運用するポートフォリオの内訳は、リスクの低い国債が60%もありました。しかし今回の見直しで、国債は35%まで減らされ、その分リスクの高い国内株式の割合が大きく拡大されました。
なぜこのような変更がされたのでしょうか?それは、このままでは現在働いている私たちの世代が年金をもらう高齢者になったときに、今の高齢者よりもずっと少ない額しかもらえなくなる可能性が高いからです。そのため、リスクをとっても利回りの高い株式などで資金を運用することで、少しでも年金の資金源を増やそうとしてるのです。
運用する必要はあるの?
しかしこのような運用体制の変更には批判的な意見も多いです。それは、国民の大事なお金を使ってリスクの高い運用をするほど効果はあるのか、というものです。
そもそも日本の年金制度は、「賦課方式」と呼ばれるものです。これは現役世代(働いている世代)が収めた保険料を、そのときの高齢者の年金にあてるシステムです。そして、年金の大半はこの保険料収入によって支払われており、運用収入からの資金の取り崩しは、年金給付額全体の数%に過ぎないそうです。これでは、リスクをとって高利回りの運用をしても、その効果がわずかだと疑問視されるのもうなずけます。
まだまだGPIFは機関として未熟であり、これからの発展が期待されます。私たちの老後の生活を規定する「年金問題」ですが、実際のところどうなるのか、誰にもわかりません。安定した生活を得るためにも、国民みんなが年金制度に対する知識を身に付け、その動きに目を光らせておくことが大切ではないでしょうか。