昭和の名作コメディ映画に、イケてる“男前女性”を発見!?
- 2016/5/30
草食系男子に肉食系女子……昨今は控えめで弱々しい男子と男まさりの女子という構図が話題になり定着しつつありますね。ただ、肉食系女子というのは、恋愛に積極的な一部の女性を指しているようで、どちらかというと多くの日本女性はおとなしいといえるのではないでしょか。
●高度成長期の日本を元気にした「クレイジー映画」
話は変わりますが、昭和30〜40年代に一世を風靡した高度成長期の日本のサラリーマンを元気したコメディ映画ってご存知ですか。50代以上の人じゃないと思い浮かばないかもしれませんが、植木等で有名なクレイジーキャッツの映画です。
もともとは一流のジャズバンドとして活躍していたクレイジーキャッツですが、TVでお笑い番組をやりはじめたことでコメディアンとしても人気が加速。次々と映画がシリーズ化され、当時のサラリーマンを中心に大人気となりました。クレイジーキャッツは、あっと驚くため五郎のハナ肇(はじめ)、スーダラ節の植木等、ガチョーンの谷啓ら6人組グループ。あのドリフターズの兄貴分にあたり、クレイジーキャッツの映画には若かりしドリフのメンバーも登場しています。作品は、無責任シリーズ、日本一シリーズ、大作戦シリーズ、時代劇シリーズなど30本以上。なかでも人気が高いのは、平社員の植木等があの手この手で社長に出世するサラリーマンを描く無責任シリーズですね。一方、植木が怪盗でハナ肇が刑事役という設定のアクションものもあり、どこまでも追いつ追われつを繰り返すシーンは、アニメのルパン三世と銭形警部のルーツともいえます。全盛期は年に3本も撮影されていましたが、どれも丁寧に作られていて、メンバーのイキイキとした姿は、50年たったいま見ても元気づけられますよ。
●元気でキュートなマドンナたちは、“男前女子”の先駆け!?
で、本題。映画の主役はクレイジーキャッツの面々なのですが、毎回、複数のマドンナ役の女優が登場します。もっとも登場回数が多いのは、007 映画で日本人初のボンドガールになった浜美枝。すらりとしたプロポーションに大きな瞳、つんと上を向いた鼻がチャーミングな女優さんです。また、昭和の柳原可奈子とも思える団令子や、20代の浅丘ルリ子、いしだあゆみ、ザ・ピーナッツ、中尾ミエらもキュート! いまもTVや映画で活躍中の草笛光子は、芸者やバーのマダムというお色気キャラで登場します。マドンナたちは、男顔負けの車のセールスレディや女性ファッション会社の部長、海外ショービジネスのマネージャーなどが毎回の設定。まるで現代を予言するかのような、当時としては憧れの職業につく男まさりの女性ばかりなんです。
物語前半の浜美枝は、平社員の植木等を見下す設定で、誰にでも思ったことはズバズバ言う行動力あふれるビジネスガール(=OGといい、OL以前の呼び方)。それがしだいに、常識はずれのアイデアと行動力でどんどん出世する植木を認め、最後は結婚というストーリーが定番です。「私はそこらへんの男には負けない」から→「この人にはかなわない」でも→「結婚したら主導権はワタシ」へと移り変わる潔さと現実主義がなんとも爽快。これこそいまでいう“男前の女子”ではなかろうかと感心してしまいます。
余談ですが、サザンオールスターズの「C調言葉にご用心」という初期のヒット曲のC調という言葉は、クレイジー映画の影響。C調つまりハ長調で調子がいい心地よい、から転じてお調子者という意味。また、クレイジーキャッツ映画は、坂本龍一や亡くなった大滝詠一などのミュージシャンにもファンが多いことで知られています。
無責任でお調子者の植木等と、男まさりなマドンナたちが繰り広げるクレイジーキャッツ」のコメディ映画。レンタルDVDも出ていますので、女子の皆さんもぜひ一度ご覧になってください。新しい世界観が見えてくるかも!?