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腕枕にご注意!
- 2015/6/3
ちょっとごろ寝で腕枕をしたり、ちょっと休憩で腕を下にしてデスクに突っ伏したり、なんてよくありますよね。子どもが小さいと腕枕で寝かせたり、何より好きな人の腕枕で眠るなんて幸せもあります。でも気をつけて欲しいんです。腕枕には結構な危険が隠れているからです。腕枕のあと腕が痺れたりだるくなったりは普通にありますね。それも時間がたてば治ってしまいます。でも場合によっては数週間数ヶ月治らないことがあるのです。
橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)というのをご存知でしょうか。腕の中には橈骨神経という大きな神経が通っています。これは肩先から指先までの動きを制御しています。腕の外側からぐるりと腕をまわって指先まであるのですが、腕枕で頭を乗せるあたりにちょうどこの神経が通っているのです。この神経が圧迫されることで麻痺が起こるのです。
たとえば腕枕をしてうたた寝から覚めたとします。その時腕が痺れているのは普通です。でもしばらくしても痺れたまま動かなくなったら、それが橈骨神経麻痺です。まず腕を持ち上げてみましょう。腕を水平にした時、手首から先が上がりますか。もしも手首がだらんと垂れたままだったら、それは橈骨神経麻痺の可能性が大きいのです。
手首が垂れたまま上がらない、手を握ることができない、指を広げてパーの状態にできない、これらは橈骨神経麻痺の典型的な症状です。ひどい時には感覚がまったくなくなって指も動きません。脳の異常かと慌てる人も多いのですが、脳の異常ならまず半身に出ます。腕だけ、手首から先だけなら脳には関係ありません。
橈骨神経麻痺が起きるのは腕枕で眠った時だけとは限りません。電車でポールに腕を巻きつけてもたれていたら発症した人や、車で休憩中にハンドルに腕を乗せてそこに頭を乗せていたら発症した人などもいます。ほんの30分でも起きる時は起きてしまうのです。誰でもいつどこでなるかわからない麻痺です。
腕が痺れるような体勢でいたとします。痺れやだるさがあることはたいてい問題ありません。けれどそれがいっこうに回復しなかったら、すぐに整形外科を受診しましょう。橈骨神経麻痺には特効薬はありません。基本はギプスで固定してビタミン剤を処方されます。けれど治療が早ければ早いほど治るのも早くなります。忙しいからと受診を先延ばしにするのが一番悪化させる原因になります。
どうすればならないかは何とも言えません。誰でもどこでもこんなことでと思うようなことでなってしまいます。そして治療には時間がかかります。数週間から場合によっては数カ月かかることもあります。その間指先や腕は痺れていたり感覚がなかったりで不自由しますが、まず治らない病気ではありません。要は麻痺した神経がゆっくりと治っていくのを待つのが治療なのです。時間がかかると腹をくくって、焦らず諦めずに治療してください。たかが腕枕ですが甘く見ると大変ですよ。