万能・白色ワセリンを使いこなすには
- 2016/11/30
「乳液」「保湿クリーム」「ナイト・クリーム」「ハンド・クリーム」「ボディ・ミルク」「化粧下地」「リップ・クリーム」。
いったい全身のスキンケアには、どれだけたくさんのアイテムがあるものなののでしょうか。ざっとおもいつくだけの、保湿用化粧品を並べるときりがないのが現状。もちろん、目的にあわせて化粧品を使いわけるのは必要だとおもいます。ところが、「白色ワセリン」たった一本で、しっとりとした素肌をたもつことができるとしたら。洗顔のあと、乾燥が気になる箇所にごく少量をぬるだけで、皮膚のうるおいを取り戻すことは可能なのです。
「ワセリンの特徴」
ワセリンの目的は、皮膚を外部の刺激(おもに木枯らしや化粧品の刺激)から守るのが目的です。
勘違いされやすいのですが、ワセリンそのものが、肌にうるおいをあたえるわけではありません。
生身に一枚のベールをかけることで、皮膚表面を保護するのと同時に、水分と油分が蒸発するを防げます。その結果、しっとりとした生まれたての肌がよみがえります。
「ワセリンの選び方」
ドラッグ・ストアに行くと、ワセリンは一本数百円で売られています。メーカーや種類はいろいろありますが、クリームかわりに使用する目的ならば「日本薬局方」の「白色ワセリン」が適しています。ワセリンときくと「べたつく感触が苦手」「あぶらやけが心配」という方もすくなくありません。しかし、日本薬局方の白色ワセリンなら、精製度が高く酸化しにくいのが特徴。安価な「黄色ワセリン」は不純物が多く品質が良くないので避けましょう。
「ワセリンの使い方」
のびがよくないため、ついつい量を増やしたくなりますが、顔全体に必要なのは「米一粒」です。スパチュラでワセリンを手にとると、てのひらをこすりあわせてよくのばし、その手を顔にやさしくあてるようにしてつけましょう。
効果を期待してたくさん塗ると逆効果です。くりかえしますが、肌の乾燥をなおすのではなく、外部の刺激から守るのがワセリンの役割ですから。
ちなみに京劇(中国の国劇)の役者さんは、公演のたびに白塗りをして、華やかな隈取をほどこしますが、その白粉の下地には毎回ワセリンを使うそうです。
色とりどりの顔料は決して顔に優しい成分とはいえません。その上、湿度の低い劇場で、明るい照明を浴び続けるのです。いかにも皮膚に劣悪な環境ですが、むしろ役者さんは、美肌ぞろいで驚きました。しかし、その秘訣は意外なものでした。
ドーランを塗るのは、ワセリンで顔にバリアをはった後なので、とくに心配はないそうです。逆に化粧をすることで、顔料の刺激や乾燥した空気、スポットライトから肌を守れるとのこと。つまり、ワセリンが「保湿パック」のような役割をはたしていると聞いて納得しました。